じゅうはちてんご ページ19
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………暇や。
いつもならセンラにダル絡みしたり、まふとわちゃわちゃしたり、Aとのんびり喋ってたりするのに、今日は誰もいない。
センラたちは体育祭の準備がどうとかで、まふはよくわからないから放置。
まふ、どしたんかな。
「なあまふ〜?」
「…さかたん」
「なんか怒っとる?どしたん?」
おれがそう言うと、プイッとそっぽを向くまふ。訳がわからん。
することも無いのでフラフラしていると、やっとA達が帰ってきた。
自然な流れでAから荷物を受けとる。ナイスアシストやで、センラ!
と、思ってた。
目を離した隙に、センラがAに何かを言っていた。まあ別にそれは問題ない。
けれど、その後Aはまふのもとへ行き、顔を赤く染めながら何か話していた。
さっきおれが話しかけたときは完全に無視したまふが、Aと楽しそうに会話している。
「センラ!」
「ん、どした?」
「お前Aに何か言ったん?まふとAはなんであんなに楽しそうなん!?なあセンラぁ〜!」
「うっさいわ!声がデカイ!!」
「だって、センラはおれを応援するって言ってくれたのに、なんでまふとの距離が縮まること言ってるんやろ、って…」
少し前、センラはおれのAへの気持ちを見事に言い当て、頑張れと声をかけてきた。
そしてまふは、センラとおれの会話を偶然聞いていて、ライバルだって言ってくれた。
「別にそういうことちゃうわ」
「…じゃあどういうことなん」
「応援はもちろんしてるけど、一番大事なんは本人の気持ちやろ?俺はいろんな人の背中押してるだけや」
「本人の、気持ち…」
本当は分かってた。
おれはAにとってただの友達で、特別な感情なんてこれっぽっちもなくて。
でも諦めたくなくて、まふにライバルと言われたことが嬉しかった。
けど、今のAとまふの顔を見れば分かる。あの間に入ることは不可能で、Aは1ミリもおれに振り向いてくれることはないんだって。
「“ライバル”、か…」
「青春の匂いがする言葉やなぁ」
「勝ち目は一切無い闘いやけどな」
「センラが慰めてやろーか?」
「まだ諦めてへんし!機会があれば奪うから!!」
「修羅の道を選ぶか」
「Aが幸せならおれはそれでええねん」
「それ負けた奴が言うせりふ…」
冗談混じりの本心を言った。
修羅の道だろうとなんだろうと、おれはおれの出来る最善のことをする。
それが結果的に、背中を押すことになるとしても。
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翡翠琥珀(プロフ) - 四つ葉@甘エビ食べたいさん» え、ありがとうございます(泣)作者は夜行性なので深夜更新多めですが、このままだとわりと長引きそうなので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2020年8月16日 22時) (レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
四つ葉@甘エビ食べたい - コメント失礼します!凄く良い作品です!作者様が大丈夫でしたらどんどん長編にしてほしいです!体調とかに気をつけて更新頑張ってください!応援してます! (2020年8月16日 19時) (レス) id: 4ad016d14c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀(プロフ) - 月さん» 私もそれ思います……てかAtRがどっちもかわいい…ありがとうございます! (2020年8月16日 16時) (レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - そらるさんかわいいなぁ!?私に女子力くれよ!!(((って思いました← どうなっていくか想像できないから楽しみにしてますね! (2020年8月16日 9時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 翡翠琥珀さん» 一緒に泣いてくれるなんて心強いっっ!!(←何言ってんだ) (2020年8月12日 23時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠琥珀 | 作者ホームページ:いつか作ります。いつか。
作成日時:2020年7月21日 15時