【歌い手】僕だけの、放課後せんせー【ｍ.ｆ.ｍ.ｆ】

じゅうよん ページ14

「……てことだから。じゃあ委員長、号令」

「きり〜つ」


男子委員長の折原くんの号令で、全員がゆるゆると立ち上がる。


「れーい」


バラバラに頭を下げ、散り散りになるクラスメイト。
全員の動きが見えるから、一番後ろの席はすき。


「あ、A」

『何？』

「せんせーが、委員長は体育祭のハチマキとか資料を、一時間目までに運んどけやと」

『えぇ…行こうか、折原くん』

「おん。ほんま、委員長ってダルいわぁ」


持ってきていた髪ゴムを取り出し、いつもの髪型にする。
うん、やっぱりこれが落ち着くな。


折原くんと喋りながら、まふの横を通って教室を出る。
ここから資料室まではまあまあ遠い。しかも体育祭の準備物となれば、重いのは確実だろう。

けれど一時間目は体育祭の種目決めだからしょうがない。
…まあ、これも委員長が進行するのだけど。

うちの学校は、委員長の扱いが荒いとつくづく思う。


「そういえばA、まふと何があったん？」

『…何もないよ』

「センラは口が固いので誰にも言いません」

『そういう問題じゃなくて、』

「ちなみに、まふと坂田とそらるさんとAの好きな人を知っています」

『えなんでなんで！？』

「センラの目には全てお見通しです。んで、もっかい聞くけどなんかあったん？」


やっぱり折原くんは掴めない。
けど、みんなに優しくしてくれるおもしろい男の子。
そして、委員長としても、クラスメイトとしても、友達としても頼れる人。


相談してみるのも、ありかな。



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