【文豪ストレイドッグス】綾辻行人殺人探偵の人形

辻村の憂鬱１７ ページ27

今日こそは大丈夫だ。
化粧は完璧だし、寝癖は消してある。
前髪が決まってる、と思う。


辻「おはようございます、綾辻先生」
綾「ああ。おはよう、辻村君」



部屋を見渡すとAさんの姿がない。



辻「あの、Aさんは？」
綾「まだ寝ている。起こすな。君の声は騒がしい」
辻「なっ……分かりました……………」


私の声がでかいと言いたいのか。確かにAさんの声は囁くようだけど………。
寝ているということは、地下室で寝ているのか。あの涼しい部屋で寝て風邪をひかないのかな。



辻「地下室、寒いんじゃないですか？」
綾「今日は俺の部屋にいる」


ああ、先生の部屋にいるんですね…………………へ？
綾辻先生の顔を凝視する。
Aさんが先生の部屋で寝ている。
まだ寝ている？



綾「何を金魚のように口をパクパクさせている。阿呆が際立つぞ」
辻「誰が阿呆ですか！阿呆じゃありません！
…………………あの」
綾「何だ」
辻「つかぬ事をお聞きしますが…………………Aさんは、綾辻先生の、恋人ですか」


恋人だとしたら、私の予想が的中してしまう。
綾辻先生は悪びれた様子もなく、さらりと言った。



綾「俺の所有物だが」
辻「そうではなく、…………………体の関係があるのか、と聞いているんです！」



ああ、恥ずかしい。言いたくないけど仕事だ。
異能力と遺伝の関係性はまだ不確定なのだ。
もし綾辻先生の異能、「Another」が遺伝性、もしくは譲渡可能なタイプであった場合。
生まれてくる子供は異能特務課による監視を一生受ける。
もし遺伝しなくても、父親には一生会えない生活になるかもしれない。
Aさんだってそうだ。
まだ特務課はAさんの処遇を決めていない。
特一級危険異能者の存在を知っている彼女は、最悪------------------処分のため一生表に出ることはない。
困るから、という理由以外にも、生まれてくる子供が不幸だから。
綾辻先生の返事は、意外なものだった。

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