辻村の憂鬱7 ページ16
悩んだ。散々考えても分からない。
かろうじて移動系の異能だろうか……?というくらいだ。
綾辻先生は涼しい顔してわたわたする私を観察しているし、Aさんは綾辻先生が命令しない限りヒントなんてくれないだろう。
Aさんは買ってきた食材で何か作り始めた。
あ、なんかすっごくいい匂いがする。
とりあえず分類できそうなところからいこう。
瞬間移動系だろうか。
それとも物質転送系?
ものの影を移動するとか……。
パソコンを使ってAさんが行ったであろうスーパーを探す。
近隣で今日セールをやってて、このビニール袋を使っているところ。
一応該当店を発見した。
しかし近隣じゃない。
直線距離でも数十キロメートルはある。
Aさんの服はまだ冷たかった。
冷房で冷えたのだ。
それが温まらないで帰ってきたということは、やはり物質転送系だろう。
でも何を媒介にして?
異能は便利な支配道具ではなく、一定のルールがある。
それがなんなのか。
辻「綾辻先生………分かりました」
綾「ほう、言ってみたまえ」
辻「Aさんの異能は物質転送系です」
綾「それだけか?まさかそれだけではないだろう」
………う。
それだけなんです。
辻「くっ………ソレダケデス………」
ああ悔しい。
本当に悔しい。
Aさんは私を見て、立ち上がってぱち、ぱち、と二回手を叩いた。
スタンディングオペレーションだった。
優しい。綾辻先生と違って。
辻「ありがとうございます……Aさん……!」
冷たく綾辻先生が言う。
綾「まさかそれだけとはな。
だがまあ辻村君にしてはよく頑張ったな」
一瞬がくり、としてから後半の言葉に耳を疑う。
え?今綾辻先生私を褒めてた?
なんかすっごく嬉しい。
綾「顔がにやけているぞ」
呆れたような声で言われ、慌てて顔を引き締める。
が、また緩む。
綾「君は朝食を簡素に済ませてきただろう。
ご褒美だ」
ご褒美だ、と言った時の綾辻先生の言い方はボールを取って戻ってきた犬にジャーキーをあげるかのように見えたのが気がかりだったが示された方を見てそれはどこかへ吹っ飛んだ。
辻「ふわあああああああ!すごい!」
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乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» 同い年ですね! (2019年8月17日 21時) (レス) id: a46352e6e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 乾 巽さん» 同い年……オーマイガァー (2019年8月17日 20時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» ありがとうございます、そんなこと言われたの初めてです。因みに年は今15です (2019年8月17日 11時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 文才力の塊……。その文才わけてください← この小説とても面白くて大好きです!!私も作者様と年変わらないと思うので……羨ましいです……。 (2019年8月17日 11時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます、頑張りますね (2019年8月10日 10時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年1月23日 16時