綾辻の追憶６ ページ11
犯人の少女は留置場の牢屋の中で糸の切れた操り人形のように呆然と座り込んでいた。
その表情は、操られていたときのように自分の感情を一切出せない能面のようだった。
とてつもない美少女というわけじゃない。
だが人間らしくない表情は限りなく美しかった。
人間より人形の方が興味深い。
だが人形のような人間は？
ずっと面白い。
無実を告げても少しも動かない表情。
空虚な瞳。
気に入った。
人形屋で飾られている人形に目を奪われる感覚だった。
これが欲しい。
少女の腕を掴んで牢屋から引きずり出す。
その顔をじっと見つめ、その空虚な瞳が俺の顔を写した。
綾「俺のものになれ」
俺の人形になれ。
何も考えたくないのなら、何も考えなくていい。
自分を生かす意味を見つけられないなら、俺がその意味になってやる。
綾「お前は何も悪くない。
辛いなら何も考えなくていい。
俺がお前の居場所になってやる」
少女の目が揺らいだ。そして静かに頷いた。
綾「人間であるのが辛いなら、人形でいい。
俺の人形でいい。
だから命令は必ず守れ。
−−−−−−−−−−俺の命令は絶対だ」
A「------はい」
綾「俺の名前は綾辻行人。探偵だ。
立て、帰るぞ。事務所に−−−−−A」
A「はい、行人さん」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
特務課「綾辻先生が解決した、無差別大量殺人事件、傀儡事件の件で拘留されていた少女が行方不明になっていたそうです。
何かご存知ですか？綾辻先生」
ふー、と煙草の煙を吐き出し目を閉じて答える。
綾「知らんな。終わった事件の被害者などどうでもいい」
特務課「一応被害者だったわけですし、メンタルケアの用意してくれてたみたいなんですけど。
気がついたら牢屋から消えてたそうですし。
ひょっとしてあの子異能者だったのかもしれませんね。
牢屋から脱走できるくらいですから」
綾「さあな」
特務課に見つかるようなヘマはせん。
何か今日は機嫌がいいですね、と言われた。
綾「新しい人形が手に入ったからな」
それもとびきり興味深いうえに動くのだから。
心の中で内心ほくそ笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» 同い年ですね！ (2019年8月17日 21時) (
レス) id: a46352e6e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 乾 巽さん» 同い年……ｵｰﾏｲｶﾞｧｰ (2019年8月17日 20時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» ありがとうございます、そんなこと言われたの初めてです。因みに年は今１５です (2019年8月17日 11時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 文才力の塊……。その文才わけてください← この小説とても面白くて大好きです！！私も作者様と年変わらないと思うので……羨ましいです……。 (2019年8月17日 11時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます、頑張りますね (2019年8月10日 10時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：乾 巽 | 作成日時：2019年1月23日 16時
