辻村の憂鬱9 ページ18
ん、と無言で差し出された手鏡を覗き込む。
辻「うわあああああ!」
嘘でしょ?!前髪が−−−−−やばいほど跳ねている。
ビヨン、と効果音がつきそうなくらいだ。
寝癖直し、ちゃんと付けてきたのに!
やっぱりしっかり乾かさなかったからここに来るまでに跳ねたんだ。
綾「その寝癖を見れば猿でも一目瞭然だ。
それからアイラインが左右非対称になっているぞ。慌てて化粧したからだろうな。
口紅がとれていないから今日は喫茶店には寄っていないのもわかる」
辻「すみませんヘアアイロンかドライヤー貸してください!」
恥ずかし過ぎる。
死にたい。
Aさんはそれを予想していたのか、洗面所に行くと既にしっかり温まったヘアアイロンが置いてあった。その横にはヘアオイルも用意してある。
寝癖を直して戻ると、Aさんはもう私が食べ終わったお皿を洗い、冷蔵庫から林檎を出していた。
辻「綾辻先生のところの家事って、全面的にAさんがやってたんですか?」
今まで全く気がつかなかったけど。
綾「ああ、朝食は俺が作ることが多いがな。
Aは基本的に地下室で過ごしているから時間の概念がない。時折買い物に行くくらいだ。
俺が寝ている間、夜に起きて事務所の掃除をすることが多い」
辻「寝ている間に綺麗になってたり作り置きのご飯が作られているなんて童話の小人みたいですね」
靴屋の小人みたいだ。
なるほど、地下室に降りた時も精巧な人形ばかりだから気がつかなかった。
そして私がいる間はずっと地下室にいた。
今日外出していたのは本当に偶然だったのだ。
辻「それで、Aさんの異能力とはなんなんです?」
綾「Aの異能は鏡面を操る。光を反射するものならそれらを繋いで移動できる。
鏡面使いの異能、「鏡合わせ」。辻村君の予想通り物質転送系の異能だ。
スーパーから直接事務所のドアのガラスに移動してきたんだ」
ドアのガラスって…………………あんなところから…………………。
予想できるわけがない。
辻「でも、綾辻先生って割とAさん放任してません?ほとんど顔合わせてないみたいですよ、それだと」
Aさんの生活が昼夜逆転しているなら、綾辻先生とはほとんど顔を合わせていないことになる。
人形のように扱っているAさんを綾辻先生が放任しているとは思えない。
自由に外出すらさせない気がする。
って言うか、監視下にある綾辻探偵事務所から外出者が出ている時点でダメなんだけどね。
245人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» 同い年ですね! (2019年8月17日 21時) (レス) id: a46352e6e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 乾 巽さん» 同い年……オーマイガァー (2019年8月17日 20時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» ありがとうございます、そんなこと言われたの初めてです。因みに年は今15です (2019年8月17日 11時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 文才力の塊……。その文才わけてください← この小説とても面白くて大好きです!!私も作者様と年変わらないと思うので……羨ましいです……。 (2019年8月17日 11時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます、頑張りますね (2019年8月10日 10時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年1月23日 16時