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「で?何話したの?」
「まあ、……天然で後輩に気をかける優しい先輩、ってのを装って一人の私を馬鹿にしようとしただけだよ」
「……ふぅん」

私の話を聞くと、面白くない、とでも言うように興味がない様子だった。

着ていたブレザーを脱ぎ、ソファの背もたれに掛けてそのソファに爽が座る。あともう少しでできる中華スープの鍋をかき回しながら、いつも通り今日あったことを報告した。

「あ、そうそう。その後一人で弁当食べてたらさ、姉のグループにいた人に歌い手やってるの?って聞かれた」

「はぁ?バレてんじゃん」

いつもとは違う報告に、流石の爽も動揺したらしい。無意識に座っていたソファから立ち上がった。
一方私は、もう聞かれてから時間も大分経っていたこともあり、あのときの動揺はもうなくなっていた。

「大丈夫大丈夫、二人きりのときだったし、適当にはぐらかしたから」

本当に……?と疑い深い目で私のことを睨む爽は無視して、煮立ったスープを盛り付けるための皿を探す。
そんな私の姿を見て呆れたのか、大きなため息が後ろから聞こえてきた。

「ちなみに聞いておくけど、その質問してきた人の名前は?」
「あ〜、響棗って言ってたかな」

「え?もう一回言って?」
「だから、響棗ちゃん、だってば」

さっき以上に動揺しているらしい爽に、皿に盛り付けながら繰り返して棗ちゃんの名前を告げると、後ろからさっきより大きなため息が聞こえてきた。





「その人、歌い手の96猫さんだよ……」
「……え?96猫さん……?!」

思わぬ爽からの回答に、スープをこぼしそうになった。

そして、それと同時に、爽のため息の原因はこれか、とも理解する。



「そ。うちの学校の2年生にいるって言ってたから。その人は96猫さんで間違いないよ」

あんな珍しい名前の人が被るとも思えないしね、とぼそぼそ言っている爽の言葉なんて、頭に入ってこなかった。

・→←Episode 3



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らむね - え…すこ← (2020年6月8日 22時) (レス) id: 9e28ad89d2 (このIDを非表示/違反報告)
りょうか@狂花水月(プロフ) - ゆーひさん» 忘れるわけがない笑笑 嬉しいって言ってくれると私もすごく嬉しいです◎ ありがと!!更新頑張ります(`・ω・´)b (2020年4月9日 17時) (レス) id: 2fccda524d (このIDを非表示/違反報告)
ゆーひ - よかった!覚えててもらえた!!笑 またりょうかの小説読めて嬉しい!更新頑張ってね! (2020年4月9日 14時) (レス) id: b9150210a3 (このIDを非表示/違反報告)
りょうか@狂花水月(プロフ) - ゆーひさん» え待ってゆーひ?!めっちゃ覚えてるよ……!!実は大好きな作者さんが最近復帰してて、それ読んだら私も復帰したくなっちゃったんだよね笑笑 ありがとうございます……(´;ω;`) (2020年4月8日 23時) (レス) id: 23902dfb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆーひ - なんとなく占ツクみてたら、復帰しててびっくりした!!私のこと覚えてるかな・・・?リメイク版も素敵でした♪ (2020年4月8日 21時) (レス) id: b9150210a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りょうか@狂花水月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a812e7560b/  
作成日時:2020年3月31日 13時

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