3. 不可視 ページ4
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『岩泉じゃん、同クラに知ってる人いて良かった〜!』
岩泉はいつも徹と一緒だった。だから、徹が青葉城西に来るか、岩泉が白鳥沢に行くか。そのどちらかだと思ってたんだ。
まぁ、実際は岩泉が青葉城西に来ているから、違ったんだと言うことは私でも理解できた。
「あれ?Aも青城に来てたのか、他の所だと思ってた。」
……北川第一の人なんてほとんど青葉城西でしょ?
って、実際の所はそんなこともないのかな。
『まぁね、家から1番近かったからさ。』
「だよな、近ぇの大事。」
ふはっ、と笑った岩泉は中学のときと何一つ変わらなくて、全てが変わってしまった高校の中でも少し安心したのはここだけの話。
『あ、岩泉は何部にするか決めた?やっぱり男バレ?』
もしも、岩泉が男バレに入部するなら徹と岩泉は敵どうしって事になっちゃうんだよね。2人が並んで競い合っているのを見てきた私からすれば、ちょっぴり寂しいかな、なんて。
「おう。」
『頑張ってね!』
「さんきゅ……悪い、及川来たから行ってくるわ。」
……岩泉は、今、何て言った?
唐突な言葉に一瞬だけ思考停止したけれど、慌てて頭を働かせた。及川……って、あの及川だよね。
「岩ちゃんクラス離れちゃったから寂しいね〜……っえ?」
「……どうして及川がここにいるの?」
白鳥沢からの推薦が来たのに青葉城西にいるはずないでしょ、どうして?徹は何でここにいるの?
「おい、皆見てんぞ。」
「あっ、ごめん、えっと……A、来て。」
不意に握られた手の感覚と彼の髪と共に届いた微かな香りだけでも徹なのだと分かってしまう。そんな自分が……少し、嫌になった。
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作者名:羽瑠 | 作成日時:2021年10月10日 14時