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温もり やそじ ページ30











「さっきまで、美門の部屋にいたんだ」









私の問いに淡々と答える黒木君。









なぜ、翼がここにいるのを知ってるの。




どうして翼に会いに来たの。









途切れることのない疑問がいくつも浮かんでくる。









「アーヤ、気付いてなかった?」









ふと黒木君が私に問い掛けてきた。




気付く・・・?





何に。









「・・・なんの事?」









心当たりが全くない。




そんな様子の私に黒木君が呆れたように笑う。









「アーヤ、もう少し周りを見渡すようにしなよ」









その言葉で黒木君が何を言いたいのか、なんとなく分かった。




私は黒木君を見ながら口を開く。









「・・・まさか、ついてきたの?」









ご名答、と頷いた黒木君。




その顔には余裕な笑みが浮かんでいた。









「若武先生がうるさくてね。つけるように言われたんだ」









けれど、その笑みはすぐに消える。









「まさか、美門がこんな状態だったとは思わなかったよ」









そう言って目を伏せる黒木君に、私は口を開いた。




これは今まで必死に翼が隠してきた事だから。




だから、お願いだから。









「・・・翼の事は、皆には言わないで」









そう、小さく呟いた。




黒木君は目を見開いて私を見る。









「・・・アーヤ、それは」




「お願い」









これだけは譲れない。




もうKZを除名になっても構わない。




生きがいを失う事になるけれど、翼には代えられない。




だから。









 









「私が翼と付き合ってるって言ってもいいから」









「除名になる覚悟もできてるから」









 








「お願い、これだけは言わないで」









 









黒木君の瞳を真っ直ぐ見つめ、そらさない。




譲る事はできないから。




黒木君は軽く息を吐き、髪をかきあげた。









「・・・分かったよ。お姫様の頼みなら仕方ないね」









降参、というように両手をあげて目を瞑る。




私は少し笑って頷いた。









「ありがとう」









黒木君は軽く頷いて片手をあげて背を向ける。









「じゃ。俺は用済みだから、この辺でね」









颯爽と去っていく背中にもう一度感謝を言い、私も背を向けた。




・・・私には まだやるべき事がある。

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にゃ〜 - アーヤと、翼のお母さんが、最後の最後まで翼を信じるところが感動しました! (1月8日 21時) (レス) @page50 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
みみー - 泣いちゃいました!読み終わった後なんかもうぼろくそに泣きました!作者様様へ、感動する話をありがとうです! (2021年3月24日 11時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - 感動しました! 色々なところで、泣きました (2021年1月5日 20時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
yukko08(プロフ) - 翼が彩に抱きしめてと言ったところで泣きました 作者様に感謝です! (2020年5月4日 19時) (レス) id: 85514eea1d (このIDを非表示/違反報告)
K - リクエストを書いてもらえて嬉しいです。ありがとうございます。 (2019年9月6日 6時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/  
作成日時:2018年3月22日 15時

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