検索窓
今日:17 hit、昨日:4 hit、合計:47,081 hit

温もり むそじ あまり やっつ ページ18






素直になれ、と言ったときの翼は、驚いていた。




図星を突かれていた事を、自分でもやっと気付いたかのように。









「翼はいつまで変な意地を張るつもりなの?」









私は強い口調のまま、翼を問いただす。









「もう全部バレてるんだよ? 翼のお母さんからも話聞いたよ?」









なんの感情かも分からない涙が流れた。









「私はどんなに突き放されても諦めないよ」









声も体も、全てが震える。









「好きなんだよ、翼の事」








涙は止まらず、とめどなく溢れていく。









「ねぇ、お願いだから、素直になって・・・」








堪えきれずに嗚咽が漏れる。




なんで泣いているのか、自分でも分からない。




怒り、哀しみ、寂しさ、悔しさ。




どれかなのか、全部なのか。




ただ、翼が関係している涙なのは分かる。









 









「・・・アーヤ」









 









ふと、優しい声で苦し気に名前を呼ばれる。




その瞬間、私は翼の腕の中に包まれた。









 









「ぁ、たす、く・・・」









 









翼の腕の中で、温もりを感じる。




それと同時に翼の腕が震えている事にも気付いた。









「翼、泣いて・・・」









そっと、翼の顔を見上げる。









「・・・えっ?」









翼の瞳には涙なんてなかった。









ただ、苦し気に顔を歪めながら、必死に私を抱き締めていた。









 









「・・・っ、翼、離して。離れて」









「いやだ」









「お願い、翼ってば」









「離したく、ない」









 









震える腕で私をキツく抱き締める。




けれど、段々と力が抜けているのが私にも分かった。









そう、翼はALSなんだ。




筋力だって落ちている。









「お願い、無理しないで、翼」









「無理なんてしてない」









「私は翼の側にいるから」









「じゃあこのままでも良いでしょ」









「良くない! 翼、筋力落ちて・・・」









「・・・もう少し、このままでいさせて」









弱々しい声で私の肩に顔を埋めながら言った。




なんで・・・









「もう、全部バレてるんなら」









翼が吐き出すように呟いた。









「カッコつける必要もないでしょ」









頭をグリグリと甘えるように肩に擦り付ける。









「・・・少しだけ、甘えさせて」

温もり むそじ あまり ここのつ→←温もり むそじ あまり ななつ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (87 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にゃ〜 - アーヤと、翼のお母さんが、最後の最後まで翼を信じるところが感動しました! (1月8日 21時) (レス) @page50 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
みみー - 泣いちゃいました!読み終わった後なんかもうぼろくそに泣きました!作者様様へ、感動する話をありがとうです! (2021年3月24日 11時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - 感動しました! 色々なところで、泣きました (2021年1月5日 20時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
yukko08(プロフ) - 翼が彩に抱きしめてと言ったところで泣きました 作者様に感謝です! (2020年5月4日 19時) (レス) id: 85514eea1d (このIDを非表示/違反報告)
K - リクエストを書いてもらえて嬉しいです。ありがとうございます。 (2019年9月6日 6時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/  
作成日時:2018年3月22日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。