温もり みっつ ページ3
*
「ん〜」
満開の桜を眺めながら大きく伸びをする。
今日から、私は中学2年生だ。
清々しい思いで空をあおぐ。
「アーヤ」
澄んだ青空に見とれていた時、声をかけられた。
「あ、翼」
振り返ってみると、顔に笑顔を浮かべた翼がいる。
「ちょっと、いい?」
表情に反して声色は硬い。
「う、ん」
なんだろう。
翼がこんなに緊張しているのは見たことがない。
少し校門から歩いて、人気のない所に来た。
「あの、翼」
前を行く翼に話しかける。
すると翼は立ち止まった。
「わっ・・・」
急に立ち止まったので、ぶつかりそうになる。
「あ、のさ」
ギリギリでぶつかるのを回避して、翼を見上げる。
しかし翼は振り返らず、前を見たまま話し続ける。
「アーヤの考えって、変わってないの?」
私の考え・・・?
「あの、KZでは恋愛とか考えられないっていうの」
あぁ、『黄金の雨は知っている』の時の。
でも、なんで急に・・・?
「どうして、そんな事聞くの?」
恐る恐るという風に翼が振り返る。
「え・・・」
その顔は、少し赤く染まっていた。
「ほんっとに、アーヤって鈍いよね」
え、なにそれ。
意味が分からず、ムッとしてしまう。
「翼がもっと分かりやすいように言えばいい話でしょ」
翼を見上げるように言い返すと、翼は手で顔を覆った。
「何してるの?」
一瞬、笑っているのかと思ったが、違った。
「反則、でしょ・・・」
ん・・・?
「ちょっと翼、何が反則・・・」
「好き」
「好きだよ、アーヤ」
「えっ・・・?」
今、なんて・・・
「付き合って、って言ったら、アーヤは困る?」
顔を覆っていた手を外し、初めてその時の翼の顔が見えた。
その瞳は真剣そのものだった。
「・・・困、るよ?」
別に、翼が嫌いな訳じゃない。
むしろ好きの部類に入る方。
けど、それはあくまで友達としての好き。
そこに恋愛感情はない。
「そっか・・・」
何よりもKZが大切だから。
「・・・うん」
KZが、大切、だから・・・
「アーヤの事、困らせてもいい?」
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時