温もり はたち あまり いつつ ページ25
*
「人工呼吸器の期限は、6年」
6年・・・
「じゃあ、その6年間は・・・」
その6年の間に医療技術が発達して、治療法が見つかるかも・・・
そんな希望でさえ、神様は打ち砕く。
「もって、6年なんだ」
もって・・・?
「人工呼吸器も機械だ。故障だってする」
そんなの、息が・・・!
「一応、付け替えることも出来るけれど・・・」
出来るのっ!?
藁にもすがる思いとは、まさにこういう事だ。
僅かな可能性にもすがり付く。
「それはとても、体に負荷がかかる事なんだ」
私は大きく息を吐き出す。
また、可能性がひとつ減った。
「それに、費用だってバカにならない」
お金、が・・・
「1度目は保険がおりるけど、2度目は・・・」
ことごとく、翼の生きられる可能性が減っていく。
何も出来ない自分の無力さに、涙が溢れる。
「とりあえず、美門君の親御さんに話をしてみるよ」
私は無言で頷き、席を立った。
これ以上ここにいたら、きっと耐えられなくなるから。
「たぶん、人工呼吸器の手術は同意してくれると思うよ」
「は、い」
私は、先生に向かって頭を下げる。
「ありがとう、ございます・・・」
涙を必死に堪えて、頭をあげた。
踵を返し、部屋を出る。
「うっ・・・う・・・」
嗚咽が漏れて、廊下に響く。
翼の苦しみの正体は、これだったの・・・?
翼の哀しみの正体は、これだったの・・・?
翼は、全部分かってたの・・・?
「ぅぁ・・・っ・・・」
人工呼吸器をつけても、長く生きられない。
6年、5年・・・
もしかしたら、もっと短いかもしれない。
私は、あとどれくらい一緒にいられるの・・・?
もう、時間はないの・・・?
せっかく、せっかく・・・
せっかく、幸せになれたのに。
「いや、だ・・・いなく、ならないで・・・」
壁にもたれ掛かり、座り込む。
そのまま膝を抱えて丸くなった。
誰か、誰か・・・
誰か、助けて・・・
「あの・・・」
女の人の声が聞こえて、顔をあげる。
「貴方が、立花彩さん・・・?」
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時