温もり はたち あまり みっつ ページ23
*
看護師さんの後ろについていくと、どこかの部屋に連れていかれた。
「ここで待っててね」
待つように言われ、おとなしくしていると先生が入ってきた。
「彼・・・美門君はね、うちの病院に通っていたんだよ」
先生は席につくや否や、いきなりそう告げた。
通って、いた・・・
「美門君がこっちに引っ越してきた時、うちに通い始めたんだ」
先生は目を伏せて、辛そうな顔をした。
「美門君は、前の病院からの紹介でこっちに来たんだ」
前の、病院って・・・
「翼・・・病気なんですか?」
信じられなくて、先生に聞き返す。
・・・本当は分かっていたのに。
「美門君は・・・」
違う。病気なんかじゃない。
そう、言ってほしかった。
「ALS。筋萎縮性側索硬化症という病気なんだ」
言って、ほしかった・・・
「う、そ」
その病気は、前にパパから聞いたことがあった。
「それって、難病の・・・」
難病のひとつに数えられている、ALS。
脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経細胞。
つまり、運動ニューロンが侵されてしまう病気。
手や足の筋肉が弱くなり、痩せ細る。
さらに麻痺まで引き起こしてしまう。
でも、それは50代〜70代の人がなりやすい病気のはず。
「あぁ」
先生は深く頷き、口を開いた。
「美門君が10歳の時、ALSと診断された」
でも、でも・・・!
「翼はまだ14歳ですし、筋肉だってしっかりついて・・・」
翼は歩けるし、走る事だって出来る。
もちろん、サッカーだって・・・
「それは、リハビリをしているからだよ」
先生はさらに表情を歪め、静かに話す。
「美門君は、リハビリのためにスポーツを始めた」
私は、先生の口から話される事実を呑み込めなかった。
あんなに、楽しそうにサッカーをしていたのに・・・?
それが、リハビリ。
「スポーツのおかげで筋肉はしっかりとついていたし、普通に歩けていた」
歩けてもいたし、走れてもいたのに。
「けどね、状況が変わったんだよ」
状況が・・・?
「症状が、進んだんだ」
嘘、でしょ・・・
温もり はたち あまり よっつ→←温もり はたち あまり ふたつ
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時