温もり とお あまり ひとつ ページ11
*
休み時間、カフェテリアに急いで向かう。
階段をかけ上り、カフェテリアのドアを開ける。
翼がこちらに気付いて、片手をあげた。
立ち止まりそうになったけれど、何とか歩く。
いつも通りに。
一瞬、黒木君がチラッと見たけど、気にせずに側へ行く。
「ごめんね、遅くなって」
空いている席に座り、ノートを開く。
翼は私の斜め前に座っていた。
あまり見ない方が良いよね。
視線を若武に移し、頷いた。
「よし、今日の議題を発表する」
いつものように重々しい雰囲気で始まる会議。
今回は、どんな事件なんだろう。
ワクワクした気分で若武を見つめる。
「事件がねぇ!」
は、ぁ?
若武は直前までキメていた表情を崩し、拳を机に打ち付けた。
「全く事件が起きねぇ。くっそ!」
え、今日の集合ってそれ?
上杉君も同じ事を思っていたらしく、席を立った。
「帰る」
苛立たしげに言い残して、背中を向ける。
私も今すぐ立ち上がりたかったけれど、我慢した。
「まぁまぁ」
帰ろうとしていた上杉君を黒木君がなだめる。
「それなら、俺から言いたい事があるんだけど。いい?」
黒木君が手をあげて若武に許可を求める。
若武はすがり付くように頷いた。
あぁ、バカ武・・・
「あのさ」
黒木君が放つ言葉を、全員が待ち構える。
「アーヤ、美門。いつからそうなった?」
鋭い眼光で睨み付けられて、息を呑む。
もう、バレたの・・・?
「そうなったって、どういう事でしょ」
翼はとぼけるつもりのようだ。
「俺の口から言わないとダメか?」
静かに言葉を重ねられて、追い詰められる。
「ダメも何も、心当たりは全くないんだけど?」
翼はポーカーフェイスでとぼけ通す。
私も内心、ハラハラしていた。
ここで私に矛先が向いたら、絶対無理っ!
「アーヤも?」
黒木君の視線がこっちに移る。
き、来たっ!
「な、にが?」
平然を装って黒木君を見つめ返す。
「へぇ。じゃあお前ら、本当に付き合ってないのね」
バレてるっ!
その一言で若武の目付きが変わった。
一気に鋭くなり、私と翼を睨む。
私は震え上がり、うつむいた。
そうする事しか出来なかった。
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時