貴方の強気はどこから? ページ43
.
「貴君か。黒衣の異能力者と云うのは」
攻撃が止み、ほっとして声のした方へ顔を向ける。
芥川さんが問う。
「何者だ」
男は床を蹴って私たちの近くに着地すると、被っていたフードを取ってその白髪を晒した。
「俺の名はジイド。ミミックを束ねる者だ」
その言葉に、身構えた。
太宰幹部をもってしてもなかなか素性を暴けない男。
しかし芥川さんは落ち着き払って答える。
「雑魚を何人倒そうとあの人は僕を認めぬ。手合せ願おう」
マジで????
逃げるなんて選択肢が無いのはわかっていたけど咄嗟に思った。
なんでそんなに強気なの???
口をぽかんと開けて芥川さんとジイドを見た。
ジイドが口を開く。
「ひとつ聞く。貴君の異能力は、我らの魂を原罪から解放する力に足る力か?」
「試してみるか!」
言葉と共に放たれた黒獣をジイドは最小限の動きで躱すと、更にそれを利用して高く飛ぶ。
「逃すか!」
激しく繰り出される攻撃も難なく避け、地面に着地して小さく呟いた。
「貴君ではないようだ……」
九本が束になって襲い掛かるも、銃弾ですべて弾かれてしまった。
「莫迦な!これは異能力か?貴様、僕の動きが読めるとでも云うのか!」
ジイドは機敏な動きで芥川さんを追い詰め、両手の銃を撃つ。
二発放たれた銃弾のうち一発が芥川さんの右足を撃ちぬいていた。
倒れ込んだ芥川さんの額に、銃口があてられる。
「あと数年もあれば、我々の望みを叶える異能力者になっていたやも知れぬが、待てぬ」
「……殺せ。敗残兵は去るのみ。貴様の求める敵になってやれず、済まなかった」
悔しさと諦めを声に滲ませながら、芥川さんは目を瞑る。
「……さらばだ」
瞬間、ジイドの目が見開かれた。
後方に大きく跳んでその蹴りが躱される。
「げっ」
そう声を漏らして、私は危なげに着地した。
今出てったら芥川さんに巻き添えで殺されると思っていたので機をずっと伺っていた。
人は命を奪う時に一番周りへの注意が削がれる。
そう教わったので万一芥川さんが殺されそうになったときはその時に出て行こうと思っていた。
多分私が出しゃばったらむしろ足手まといだし。
「そう云えば、貴女もいたな」
そう云えばじゃねえよ。
がっつり居たろ最初。
115人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時