番外編?:独り歩む another story ページ18
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数日後。
「可笑しい……絶対に何か……」
ぶつぶつ呟いている幸田に、堀が声をかける。
「如何したんです、幸田さん」
幸田は顔を上げた。
「ああ……この前、お前らに文を見つけてもらってから、文の様子が如何も可笑しい」
キーボードを叩く音がひとり分、止まった。
Aの顔がぎぎ、と此方を向く。
「どんな風に……?」
「帰って来るなり云い出したのが国木田とか言う男の話だ。爆弾から助けてもらったとか、そいつが理想莫迦で仕様がないとか……。あれは絶対に惚れている。それに俺は国木田という名前に聞き覚えがある。何があった?国木田とは誰だ?」
二人はあからさまに目を逸らす。
「矢張り何かあったんだな」
「……やだな、幸田さん、らしくないですよ」
「そうですよ、吊り橋効果ってやつですから。一週間も経てば、小学生なんですから忘れますよ」
「……そうか」
それでも落ち着かない幸田に二人は話題の変更を試みた。
「幸田さんって生まれ西の方だったんですか?」
「何故そう思う」
「あ、いや、文ちゃんが西の方の喋り方だったなあ、みたいな」
ああ、あれか、と幸田が苦笑する。
「俺も文も東生まれの東育ちだ。文が学校で転校してきた友達と仲良くしようとしてるんだ」
優しい子なんだよ、と幸田は笑った。
いつも通りだ、と二人はほっとしてソファに座った。
テレビでは先日のニュースをやっている。
堀がぽつりと言った。
「……幸田さん、三人も子供がいたなんて。しかも、最初の奥さんは亡くなって今は二人目……」
「いろいろあったんだなあとは思いますよね、うん」
「相変わらず適当だなあ」
堀が苦笑する。
それにつられてAも笑った。
「こうしてないと、やってられないので」
「……そう」
堀は真剣な顔になって言った。
「でもそういうところ、僕は好きだなあ」
「……え」
爆弾発言を落とした堀は、仕事仕事、と普段はやらない資料整理を始めた。
AはLikeだなこれは、と結論づけてパソコンに向かった。
それを見つけた幸田とトルストイがにや、と笑う。
亦日常が戻ってくる。
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バレンタインなので全く予定にないうえに原作キャラじゃない恋愛要素をぶち込みました(は?)
恋愛要素入れるとしたら今までの流れから芥川さんなので苦手な方はそういう感じになってきたらブラウザバックでお願いします。
多分当分ないと思われる。
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時