谷崎さん ページ40
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「うわ詰んだ。人生詰んだもう終わりだチクられる…」
パトカーのサイレンに逃げることも出来ず、頭を抱えてしゃがみこんでからしばらくすると、警察の人がたくさんやってきた。
「なんですか、あなたたち」
……終わった。
とりあえず立ち上がってどう言い訳しようか考えていると、谷崎さんが手帳を出して言った。
「ボク達は武装探偵社の者です。通報を受けてここへ来ていました。犯人はポートマフィアで間違いないです」
思わず谷崎さんの顔を見てしまった。
ボク達?
ボク「達」っつったかこの人。
「そうでしたか。それは失礼しました。ご協力ありがとうございます」
「じゃあ、ボク達は帰ります。帰ろっか、Aちゃん」
「……え、あ、はあ……」
え、ちょっと状況が理解できない。
谷崎さん、私を庇ってくれたの?
え?そうなの?
ヨコハマの街の方へ戻ると、それはもう自然にじゃあね、と言い、谷崎さんは去っていく。
「あの!」
振り返る谷崎さんに頭を下げる。
「あ……ありがとうございました!」
わざとらしく首を傾げる谷崎さんに、思わず笑ってしまう。
「またね!」
「また…?はい、また!」
うーんヘタレとは。
大丈夫か探偵社。
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「位置情報が途切れた?」
どうやら人虎輸送のための密輸船の位置情報が途切れたらしく、樋口さんと、なぜか私も情報員に呼び出しを食らっていた。
「ええ、ほんの数分前まではしっかりと航海路を辿っていたのですが、爆発か何か起きてGPSが壊れたようですね」
「ええ……」
樋口さんは必死の表情で聞く。
「それはどこで途切れましたか?!」
「横浜港D突堤の沖あたりです」
そう聞くやいなや、樋口さんは走って出ていってしまった。
「ボートとか、ありましたっけ」
「少し待ってください、調べてみます」
流石は情報員、脅威のタイピング速度。
「B突堤にマフィアの船庫があります。4番のトーイングボートが空いています」
「ありがとうございます」
出ていこうとすると、呼び止められた。
「安部さん、ボート操縦できましたっけ」
「……できませんね」
情報員は溜息を吐いて、言った。
「…僕が操縦しましょうか。一応免許持ってるので」
「えっ、馬場さんボート操縦できたの?」
情報員は馬場さんといって、情報員の中だったら一番話す人だ。
「あっ、じゃあお願いします」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時