紡ぐ (ページ6) - 小説/夢小説

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しばらく林を駆け、国境近くまで来た。
……近くに、いる。

「………っ！火遁・豪火球の術！」

反射的に放った術は避けられてしまった。
が、ようやく姿を視認できた。

黒生地に、赤い雲の模様の衣を纏った
写輪眼の、整った顔。

「……おでましか」

「………」

そう言うとカカシさんは布をずらした。
テンゾウさんも、臨戦態勢になる。

「久しぶり、イタチ。何年振りかな？」

「狩り残した同胞自らやって来るとは……」

「へぇ。私を殺すの？サスケを養ってるの、私なのに」

ぴくり、と、彼は反応した。
なんだ。やっぱり、サスケは『殺せなかった』のか。

「弟は殺せず、恋人は殺せたんだ」

嫌味ったらしく言うと、イタチは眉間に皺を寄せ
あきらかに不機嫌そうな顔をした。

「え？こいつ恋人いたの？」

「今そういう話してる暇ないでしょう！」

テンゾウさんの言う通りだ。
カカシさん、私、挑発してるだけですからね。

「恋人ではない。……運が良かっただけのお前が何を言うかと思えば……」

「黙らせたかったら、早く幻術でも使えば？ ……あ、ごめんね。さっきから使っていたね」

「……嫌な女だ」

私の写輪眼による幻術でなんとかイタチの幻術を相殺している。
………先に限界が来るのは、私だな……。

「任務はあくまで偵察だ。……テンゾウ。勝算はありそう？」

「良くて五分……じゃないですか？」

「三対一で五分五分ってかなりやばくないですか？」

「それが現実だ。……しかし、A。お前だけは殺す」

イタチはクナイを投げ付けて来た。
私はそれを避け、印を結ぶ。

「火遁・豪火球の術！」

「水遁・水龍弾！」

なんで水龍弾で豪火球を消せるのか。
ここで力の差を知る。

「撤退だ、撤退！ A！写輪眼に集中しろ！現状イタチの幻術を相殺できるのはお前だけだ！」

「了解！」

「木遁！」

地面から木が生える。
イタチの動きを制御し、逃げる算段みたいだ。

撤退しようと、足を浮かせた。

「言っただろう。お前は殺すと」

目の前には、イタチ。
写輪眼に集中しながら、私の腹を刺そうとするクナイをどうしようか考える。

「………、……………」

「え……？」

致命傷を避けたクナイが腹に刺さる。
背中が痛い。
地面に落ちたようだ。