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「簪……」


呟いて、私はイタチの部屋だった場所に行く。
一度だけ着けたそれを、私はイタチに返したのだ。

___返した?

どうして、返した?


イタチの部屋だった場所。
片っ端から引き出しを開ける。


「……バカ」


いくつか開けた引き出し。
大事に袋に入れて、大切に保存されていた白百合の簪。


『やっぱり私には似合わないね』


そう言って返した。
なんで返したんだろう。

本当は覚えている。
あまりにも子供だった。


この簪を一度だけ着けたその日。
仲睦まじく歩くイタチとイズミを見て、私は後日、簪を返したのだ。

本当はイズミに渡す物だったんじゃないか。

あの時はそう思っていた。




あの頃は確か、そうだ。
思い出した。

私、シスイさんに、振られた後で。

確か、そう。


『ごめんな。俺にとってお前は、妹なんだ』


そう、言われた。
それでも私にとっては大事なお兄さんで……。


…………あれ?




……確かに私は、シスイさんが大好きで。
でも、シスイさんにとって私は妹で。
私の気持ちも、兄に対するそれで。


イズミと一緒にいるイタチに、勝手に胸が痛くなった。
だから、簪を返した。


「……もしかして……」


隈無くイタチの部屋を漁る。
私がイタチに返した物がいっぱいある。

なんて酷い子だったんだ。


でも、そうだ。
だって、イタチはイズミと付き合って……



…………いなかったの? あの頃?



いや、仲睦まじかったじゃん。
めちゃくちゃ仲良かったじゃん。

私とは友達で、イズミは恋人じゃなかったの?

付き合ってなかったの?
あれで??


イズミと付き合っているのに私に贈り物をする意味がわからなくて返品していたんだ。
そうだよ。

………付き合ってなかったの??


もし、本当に付き合ってなかったなら………


「……そら不機嫌にもなるね……」

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e(プロフ) - 私も最近またナルトはまりました!面白い小説見つかって嬉しいです😄更新頑張ってください!楽しみにしています!! (2022年6月22日 8時) (レス) @page25 id: b90da82d62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枯葉 | 作成日時:2022年5月17日 0時

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