昔の話(19) ページ20
うちは一族は隔離されているから、里のお祭りに行くのも少し遠く感じていた。
そうだからか、両親には『皆で行って帰って来なさい』と言われた。
アカデミーを卒業したとはいえ十歳だった私を心配したのだろう。
私はイタチとイズミとサスケと行くことになっていた。
皆浴衣だった。
「夜の九時になったらここに集合しよう」
そこは、祭りの場所とは少し離れた林。
イタチはそう言うと、サスケに手を引かれて屋台の方へ消えて行った。
「えっと……」
何か言いたそうだったが、私は友達との約束があった。
だから待てずに、イズミに
「じゃあ、九時にね」
とだけ言った。
あの時イズミが何を言いたかったのか、わからない。
友達と屋台を回った。
綿飴、かき氷、輪投げ、くじ引き……。
どれも楽しかった。
花火が上がる頃。
九時前だったので、私は集合場所に向かった。
(痛っ……)
足が痛くて、よく見ると鼻緒に血が滲んでいた。
慣れない物を履いたからだろう。
痛いからと言って、歩けないほどではなかったから
私は集合場所まで痛みを耐えながら歩いた。
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なんとか時間前に集合場所に着いた。
私が一番乗りだったらしく、少ししたらイズミがやって来た。
しばらくするとイタチとサスケ。
それから……
「シスイさん!」
「お! A、元気だったか?」
「はい!」
私は足の痛みを忘れてシスイさんに抱き着いた。
優しく抱き締め返してくれるこの人が本当に大好きだ。
「……A」
「なに?」
イタチに呼ばれ、シスイさんから離れるとシスイさんは
ギョッとした顔をした。
「A、足、どうした?」
「え? あぁ。鼻緒で擦れちゃって……」
「痛いだろ? おぶってやるから帰るぞ」
「う、……はい……」
この人は割と頑固なので私は甘んじて背負われた。
花火が上がる。
「あ、イズミは? 足、大丈夫?」
「私は大丈夫だよ」
実際、イズミの足は大丈夫そうだった。
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e(プロフ) - 私も最近またナルトはまりました!面白い小説見つかって嬉しいです😄更新頑張ってください!楽しみにしています!! (2022年6月22日 8時) (レス) @page25 id: b90da82d62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:枯葉 | 作成日時:2022年5月17日 0時