【短編集】瓶詰め彼らにこんにちは【m/z;m,n】

ひとりめ【1-3】 ページ5

あれから数週間。


未だ、瓶の蓋が開く様子は無い。
いや、あの夜にかなり親和性高くなったよね？

お互い寂しいもの同士分かりあったよね？


という疑問を視線に込めてせんたんを見たけど何処吹く風。
素知らぬ振りをされて終わり。

『…はぁ、あの時、仲良くなったかなって思ったのに』



店長に助けを求めようにも店が見つからない。
なんだよ、助けてくれるんじゃないのか。


『…せんたんはいつ私に心を許してくれるんだろうねぇ…』


そう言ってガラスをコツンとノックするとせんたんが近付いてきてガラスにペトリと張り付きその1つ目で私をじっと見つめる。



これまでに何回もされてきたはずなのに今回だけは意味がわからない。

『…なに？』
コツリ
『…私の言葉は分かってるの？』
コツリ
『…喋ってくれないと、私はわからないよ…』


きぅ


そんな奇妙な音が部屋に響く。
『…え』


きぅ、きぃきぅ


『…な、何よ』
コツリ、コツリ
『…？』


すると上を指し始めるせんたん。


まさか


『…蓋？』

嬉しそうに縦に首を振る。

『え、開けていいの』
縦に揺れる。
『…ほんとに？』
また縦。
『…っ、じゃあ、あの、遠慮な、く…』

ぎぅ

キツい音が蓋から聞こえる。
だけど、それも初めだけ。

カラカラ…カラン

蓋が、床に落ちる


中には水が入っている為1度洗面台へ。
落ちてしまわぬように慎重に別の器へとメダカと水を移していく。


その過程でせんたんも一緒に回収。


少しホッとしたかのように洗面台にペタリと座り込む彼。


｢…と…う｣


『え』


低い、声が聞こえた。


『誰…』
｢僕、僕だよ、目の前にいるよ｣
『せん、たん…？』


1｢うん｣


1｢仲良くしてくれて、ありがとう｣


『こちらこそ…うちに来てくれてありがとう…』




『｢これからも、よろしく｣』




2人には笑顔があった





『せんたん、その下はちゃんと目があるの？』
1｢あるよ、みる？｣
『いや…いいや…』
1｢ふふ、まぁ、いつか見せてあげるよ｣
『いつか、ね』


メモ1

先端恐怖症
1つ目(隠してるだけ)の男の子
低く、おっとりとした声が特徴
迷彩柄の服と帽子を身につけている
大きさは手のひらより小さいくらい
意外と声に表情がある
寂しがり屋…？
いい子


仲良くなれました。
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皆様、ありがとうございます。

汀

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