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ひとりめ【1-2】 ページ4

『…ただいまぁ』


そう、真っ暗な部屋に声を投げ入れる。
当然、帰ってくるはずは無い。そう分かってはいるが、小さい時からの癖なのだからしょうがない。




『さて、先端恐怖症くんは何処に置こうかね』



窓際とか?それとも、太陽が当たりやすいけど、手元にも近い机とか。

だけど、やっぱり


『部屋全体が見えるし日も当たるしで、窓際だよね』



屈んで瓶の中を覗き込む。



『…今日からここが、君のおうちだよ。いらっしゃい、先端恐怖症くん』


少し、こくりと、頷いた




気がした。


そういえば、


『先端恐怖症くんって長くない?噛みそう』


口に出して言わなければいい話なのだが、どうせこの後の生活を共にするのだから、親しみを込めて呼んであげたい。


『んー…きょうくん、だめだ、せんくん?いやないわ、んんん、』


ちらりと当の本人へ顔を向けると、相変わらずじっと見られている。


『………、せんたん…そうだ、せんたんにしよう』


私のネーミングセンスが壊滅的だということは自他共に認める事実なのだが、今回だけは私の閃きに感謝してほしい。




『今日から、せんたんって呼ぶね、宜しくね、せんたん』





また、少し、彼の纏う空気、というか瓶の空気?が軽く、明るくなった。

ような気がした。





お風呂に入った後は音楽を聞きながら、買った梅酒を飲んでいた。



コチコチ



と、何かを叩く音。
目を向けると、窓際にある、せんたんの入った瓶へと当たる。


『…なぁに』


そう言ってまたじっと見つめてくる。
これの繰り返し。お風呂に入る前もこれをやったのだ。


『…寂しかったの?』


縦に揺れる。


『…そっかぁ…』



瓶の近くに座り膝を抱える。



『わたしも』



じわりと涙が出てくる。
ぐすりと、鼻をすすり、せんたんを見遣ると私側のガラスに背中をあずけて寄り添っているつもりなんだろうか。




そう思ったが、何故か心が暖かくなって



そのまま眠ってしまったのは、せんたんとの秘密。

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(プロフ) - すぷらさん» こちらも沢山勉強させて頂きました…!!これからも更新楽しみにしています!!応援しています!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - !!見られていたなんて恥ずかしいです!!汀さんの文から勉強してもっと精進させていただきます!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すぷらさん» 返信が遅くなってしまいすみません!とても嬉しいお言葉をありがとうございます!実は私もこっそりすぷらさんの作品を拝見しており、モチベーションを保つひとつになっていました。本当にありがとうございました!!ぜひ次作もよろしくお願い致します!! (2018年9月26日 1時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 【追記】 汀さんの作品の更新はもはや私の作品の更新のモチベーションになっていて違う方向でもとても力を貸していただきました(笑)ありがとうございます! (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 完結、そして内定おめでとうこざいます。汀さんの作品はとっても素敵で大好きです。これからも汀さんの作品を読ませていただきます。お疲れ様でした。 (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年7月16日 20時

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