ひとりめ【1-1】 ページ3
ひとりめはひとつめくん
you side
私はひとつ、瓶を手に取った。
お店の照明を通して、とてもキラキラしている。
「そちらは、先端恐怖症の瓶詰めになります。実は詰めてから一年ほど経つので、そろそろ廃棄を考えていたんですよ。
一緒にメダカと水草が入っているので、もし、引き取るのでしたら、日の当たる場所に置いてあげて下さい。」
私はその細かい模様の刻まれた瓶を手に取る。と、瓶の中で眠っていた先端恐怖症くん？が目を覚ました。
そしてそのまま私のことをじっと見ている。
え、1つ目…？
『あの…この子1つ目…』
｢あぁ、顔を隠してるだけなので。安心してください｣
『え、あぁ…なるほど…』
｢どうしますか、その子の親になります？｣
『そう…ですね、この子が捨てられずに済むのなら』
そういった途端、先端恐怖症くんの纏う空気がふわりと、少し柔らかくなった気がした。
気がした、だけかもしれないけれど。
｢まず、人が入っている全部の瓶がそうなんですけれど。｣
『はい』
｢中の彼らが開けてほしいと思わない限り、その蓋は開かないようになっています｣
『開かないように…？』
｢はい、開きません。彼ら自身にも、ですが魔法というか、まじないがかけられているようでして｣
『まじない…』
そう呟いて手元の先端恐怖症くんに目を向けるとまたじっと見つめてくる。
これは、私がどういう人間なのか、伺っているんだろうか。
｢あと、ご飯はあげなくてもいいようになってるみたいです、私も幾つかあげようと試みたんですけどダメでしたから｣
『わ、かりました…』
｢だけど、一つだけ、覚えていてください｣
少し、声のトーンが落ちた店長を見やる。
ペストマスクの奥から真っ直ぐな視線が向けられている気がして自然と背筋も伸びる。
｢彼らと、仲良くなってくださいね｣
『え、』
｢ふふ、それだけですよ、伝えたかったことは｣
そう言うと私の目の前に1枚の紙と上質なペンが差し出された。
｢ここに、サインを、そうすれば、貴女はこの子の親となりますから｣
『サイン…私が、親…』
｢えぇ｣
表情が全くわからないのに何故か懐かしい気持ちになるのは何故だろう。
そんなことを考えながらサインを終える。
｢Aさん、いい名前ですねぇ｣
『えぇ、私も気に入っています』
｢大事になさって下さいね｣
持ち帰りやすいように綺麗に包まれた瓶が、数分後に私の手元へと来た。
これが、私とせんたんの出会い。
ラッキーカラー
あずきいろ
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汀(プロフ) - すぷらさん» こちらも沢山勉強させて頂きました…！！これからも更新楽しみにしています！！応援しています！！ (2018年9月26日 22時) (
レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - ！！見られていたなんて恥ずかしいです！！汀さんの文から勉強してもっと精進させていただきます！！ (2018年9月26日 22時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
汀(プロフ) - すぷらさん» 返信が遅くなってしまいすみません！とても嬉しいお言葉をありがとうございます！実は私もこっそりすぷらさんの作品を拝見しており、モチベーションを保つひとつになっていました。本当にありがとうございました！！ぜひ次作もよろしくお願い致します！！ (2018年9月26日 1時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 【追記】 汀さんの作品の更新はもはや私の作品の更新のモチベーションになっていて違う方向でもとても力を貸していただきました(笑)ありがとうございます！ (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 完結、そして内定おめでとうこざいます。汀さんの作品はとっても素敵で大好きです。これからも汀さんの作品を読ませていただきます。お疲れ様でした。 (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汀 | 作成日時：2018年7月16日 20時
