始まりの風(5) ページ6
ダンゾウに告げられたことで兄の真実を知り、奴や木ノ葉に強い恨みを抱きながら頭の片隅で友と同じ、黄金色の髪が翻る。
兄がかつて言っていた。
『ソラについて多くを語ることは出来ない。だが、あいつは決して嘘をつくことは無い』と。
それは彼女が自分に向けてくれていた優しい瞳は嘘ではない、ということを言っているのと同時に幼い頃ソラに対して問いただしたことへの遠回しな答えでもあった。
『全部嘘だったのか』
幼い頃、まだ木ノ葉を去る前にソラと再会した際に自分はそう聞いた。
その言葉にソラは是とも否とも返さなかった。
幼く、何も知らなかった己はそれを遠回しな肯定と捉えたが、あれは何も言うことが出来ないソラが唯一できた否定であり、思いの証明だったのだろうか。
思い出は嘘ではない、と。
そして兄と戦った時、執拗に兄がソラを追うのをやめさせようとしたのはいつまでも自分を子供扱いしているだけだと思っていたが、それは間違いだったのかもしれない。
考えればわかる事だ。
元々、うちはを滅ぼす命を下されていたのは兄だった。つまり……ソラは兄の代わりに手を下したということ。
もしソラがいなければ、兄は家族や一族を殺した汚名を背負って死んでいくことになった。
だから兄は自分を止めようとしたのだ。
自分の代わりに汚名を背負い……オレを殺さなかったソラを、守るために。
兄やソラが復讐を望まないことはわかっている。
最後までオレを止めようとしたあの兄や、自分が悪役になっても真実を語らなかったあのソラがあまたの人間を巻き込み、傷つける復讐を望むわけがない。
当の本人たちが憎んでいないのに蚊帳の外の存在である己が復讐を遂行するのは子供の癇癪のようなものなのかもしれない。
わかっている。
けれど、それでも許せなかった。
優しい兄とソラ。
その2人との思い出を全て真っ黒に染め上げるきっかけを作ったこの男と里を許すことなどできない。
兄やソラが優しすぎるのだ。
あの2人が誰かを憎むことなどこの先ないのだろう。
自分が受けた侮辱など無かったことのように振る舞い、押し黙るのだろう。
そんなこと許せるものか。許してなるものか。
この男を殺す。
そして、木ノ葉を滅ぼす。
たとえ当の本人たちが望まなくても。
もうこの憎しみを止めることなんて出来やしない。
2人が嘆く顔がちらりと浮かんだが、それを頭から振り払い、ダンゾウに襲いかかる。
……でも、最後に。
ごめん、兄さん。ソラ。
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ミホ(プロフ) - もう更新されないんでしょうか？続きめっっっちゃ気になるんですが… (2月17日 4時) (
レス) @page32 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
エト - 更新…もうないですか、ね？ (1月3日 23時) (レス) @page32 id: 53a5d8cca3 (このIDを非表示/違反報告)
チエ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！！頑張ってください (9月22日 20時) (レス) @page32 id: 0340e8ceef (このIDを非表示/違反報告)
エト - 更新いつまでも待ってます (7月2日 1時) (レス) @page32 id: 9ac7eba60a (このIDを非表示/違反報告)
紗菜 - 更新、楽しみに待ってます。無事完結したら、BORUTOに続いて欲しいです。 (2022年12月11日 17時) (レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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