始まりの風(15) ページ17
サスケがソラと共に語り合っていた頃。
それぞれの兄弟たちもまた共に語り合っていた。
「あんちゃんは姉ちゃんになんか思ったことってある?」
「何か……とは?」
「えーと、なんていうか……悔しいとか……」
「……あぁ、そういうことか。
そうだな、オレとソラは確かに恋人だったがライバルでもあった。彼女に力が及ばないことが不甲斐ないと思うことは多々あったさ。
自分にとって守りたい人に守られるばかりというのは、まだ若かった頃のオレには少し辛かったよ。
でも……」
「でも?」
「今はわかる。守られるばかりではなかった、と」
イタチが伏せていた目を微かにあげる。穏やかな微笑みを見ていると、ナルトの焦りも少しずつほぐれていった。
「ソラがオレを守っているつもりがないように、オレもソラを守っているつもりはなかった。だから守られるばかりだと誤解していた。ソラからすれば、オレはちゃんとソラを守っていたらしい。そしてソラもオレに守られるばかりだ、と思っていたことをあとから知ったよ。
……今でこそ、競い合うだけの関係性だろうが……かつてのお前たちはきっと、助け合う関係性でもあったと思うぞ。ナルト」
「姉ちゃんとあんちゃんたちみたいにオレってば強くないのに?」
「何も守るというのは肉体だけではない。気持ちを守ってくれる相手というのも重要だ。お互いを高め合い、そして補い合う。そういう間柄を、きっとライバルと呼ぶんだ」
「一方的なもんじゃないかなぁ」
「あぁ、ちゃんとサスケもお前をライバルとして認識していたさ。例え、初めこそお前の一方的なものだったとしてもな」
「……そっかぁ。あんちゃんが言うならきっと間違いねぇよな。ありがとう、あんちゃん。やる気出たってばよ」
ナルトが明るく笑って立ち上がる。その合間にパシン、と頬を叩いた。その様子を見ているとイタチの脳裏にソラがぼんやりと浮かんだ。ナルトの明るい笑顔も気合を入れる時に頬を叩く姿もよく似ている。
ナルトは自分があまりソラと似ていないと思っているようだが、イタチの目に映るナルトはソラとそっくりだった。見ていて微笑ましくなるほどに。
そんな優しい笑みを浮かべているイタチの表情に、ナルトは長らく会っていない姉の微笑みを思い出す。姉の本心はわからないままだが、少しずつ姉やサスケの気持ちがわかってきたような気がした。
早く会いたい、と思いながら2人は修行を再開したのだった。
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ミホ(プロフ) - もう更新されないんでしょうか?続きめっっっちゃ気になるんですが… (2月17日 4時) (レス) @page32 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
エト - 更新…もうないですか、ね? (1月3日 23時) (レス) @page32 id: 53a5d8cca3 (このIDを非表示/違反報告)
チエ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!頑張ってください (9月22日 20時) (レス) @page32 id: 0340e8ceef (このIDを非表示/違反報告)
エト - 更新いつまでも待ってます (7月2日 1時) (レス) @page32 id: 9ac7eba60a (このIDを非表示/違反報告)
紗菜 - 更新、楽しみに待ってます。無事完結したら、BORUTOに続いて欲しいです。 (2022年12月11日 17時) (レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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