学校 1 ページ6
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「おはよ、玲ちゃん」
「はよ、奏那」
朝、登校中に幼馴染の奏那と会った。
奏那は物静かな性格なので、一緒にいると喋ることは少ない。
けど、私はそんな空気が好き。
気を使わなくたって良いから。
「・・・ねえ、玲ちゃんのその痣とか傷増えて来てるよね?何かあった?」
奏那に突然、痣のことを言われて思わず固まった。
この痣や傷は、親からつけられたもの。
昨日はよく目立つところに傷をつけられたため、わかりやすい。
いつもは、隠せるところも隠せなかったのだ。
奏那にこのことは言っていない。
だって心配させたくないし。
「これ、この前コケた時にできたんだ。派手に転んじゃって、、、」
「嘘。だよね」
力強く右腕を掴まれ、持っていた本を落としてしまう。
奏那の長い前髪から覗く顔は、いつになく真剣だった。
「前、玲ちゃんはは気づいていてないだろうけど、足とか手にたくさんの傷があった。これ、誰かが玲ちゃんにやったの?教えて」
「ッ…教えられない」
普段とは違う奏那に戸惑いながらも、その目を見つめ返した。
「・・・そんなに僕が信じられないの・・・?」
「えっ?何?聞こえなかった」
「ううん、特に何にもないよ。急にごめんね?」
奏那は優しく私の腕を解放し、落ちた本を拾ってくれた。
さっきの言葉は聞こえていた。
“そんなに僕が信じられないの・・・?”
悲しげに言った声が頭にこだまする。
別に、信じてないってことじゃない。
言いたくない。
ただそれだけ。
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作者名:悲哀 | 作成日時:2018年7月26日 16時