雨がやむまでに［オリジナル］ (ページ3)

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序章ページ3

＊

要らない物はゴミ箱へ。

どんなお気に入りでも、使わなくなったら捨てる。
平気な顔して。

ザアーーー

騒々しく雨音が地のアスファルトを叩く。
傘をさして道を行き交う人々を横目に、私は石橋に足をかけた。

＿＿けど、すぐくる浮遊感も、水に落ちる感触すら感じなかった。

「何やってんの」

強い力で腕を掴まれ、私は死ぬことができなかった。
彼が着用しているカッパから覗く顔は怪訝そうだった。

「なんでまたあんなことしたの」

店外に置かれた古びたベンチに腰掛けると彼はあったかいカフェオレを私に渡し、問いかけた。

「・・・死にたかったから？」

「なんでだよ」

苦笑する彼を見つめながら、私は缶に口をつけた。

彼は、私と同じクラスの人気者。
暗い私とは正反対の人だ。

そんな私達が出会ったのは、雨が降る屋上でのこと。
飛び降りようと柵を越えたところで、運悪く彼が来てしまった。
彼は私を見るなり焦りながらも、腕を掴んだ。
死ぬ気でいた私はついカッとなり、彼に言い放った。

『お願い、私を死なせて。
もう辛くて耐えられないの。
離して！』

けど、彼は離してはくれなかった。

『君が死んだら、他の人達が悲しむだろ！！』

そんな人、わたしにはいないのに。

気づいたら、涙が出てた。

『私には、、、悲しんでくれる人がいないの、、、
あなたみたいに、良い子じゃないから、、、』

そう言うと、彼は酷く悲しそうな顔を歪めると、
私を優しく抱きしめた。

『えっ、、、』

『ごめん。君のこと何も考えてあげられなかった。無神経なこと言ってごめん』

なんだか嬉しかった。
幼馴染にも抱きしめられたことはあったけど、それ以上に暖かかったのを覚えている。