期待と希望 ページ41
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「で、体はもういいのか?」
"面倒な奴" なんて言っていた灰崎も、なんだかんだ野坂の容態を案じていた。
「心配をかけたみたいだね。試合前の最後の検査がギリギリになってしまって。」
「てことは試合に出られるのか!」
「ああ。」
清々しく言い放った野坂を、一星はベンチの端から静かに見ていた。
円堂が抜けたことでチームの和が乱れ、この試合に自分の出る幕はなさそうだと思っていたのだが、これは予想外の事態だ。
一星としては認めたくないが 明らかに強者のオーラを放つ野坂は、絶対的な実力を持っている。
更に、キャプテンマークを片手に持った監督とマネージャーの神門が歩み寄る。
ということは…。
「間に合ったみたいですね。野坂君、キャプテンとして円堂君のピンチヒッター、頼みますよ。」
「はい、精一杯やってみます。」
姿を現した時からなんとなく感じてはいたが、彼は中心選手となる逸材だったのだ。
野坂に渡すよう、監督にキャプテンマークを握らされた神門は真っ直ぐに進み出た。
「元気になってみせるよ、絶対に。」と野坂が約束してくれた日から久方ぶりの再開。
話したいことは沢山あったし、あの時は遮られてしまって言えないままのこともあった。
しかし浮かんでくる言葉を今は堪え、「はい」と一言を添えてキャプテンマークを渡した。
「ありがとう。」
一言二言の短い会話だったが、微笑む神門に野坂も笑顔を返していた。
選手達は特に邪魔することなく見守っていたが、紫音は「なるほど」と何か察したように呟いた。
「恋人同士?」
「えっ!?俺は知らないな〜…。」
「そう。」
ムードを壊さないように、隣の稲森に小声で尋ねたのだが、彼もその辺の関係についてはよく知らないようだった。
「(監督の言ってた適任者は、野坂悠馬のことだったのか。皇帝が入ったらこの劣勢、覆せるかも。)」
微かな期待と、勝利への希望を抱く紫音。
だが…。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます!最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2020年4月7日 18時