過去 ページ18
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一応よそって貰った夕飯は完食(勿論自力で)し、皿は綺麗に空になった。
しかしその直後に さっさと片付ける気にもなれず、紫音は吹雪に聞きたかったことをこの際全部さらけ出した。
「他には?私が知らない間に私としてたこと。」
「…何も知らないやつが聞いたら誤解を生みそうな質問だな。」
風丸はストレートに言わずにかなりお飾りを付けて言ったが、確かに紫音の質問は変質者に聞くような内容だ。
「普通に兄妹みたいに生活したよ。今日は午前中、音楽室で紫音ちゃんのお母さんの話とかピアノを聞いて__」
「ストップ。」
日記の発表のようにスラスラと出来事を話す吹雪に、紫音が右手をあげて待ったをかけた。
「母さんの話…それに、私がピアノを?……あぁ、でもそうか。4歳だし…。」
「習ってるって聞いたけど、今はやってないの?紫音ちゃん、君がどうして音楽をやめたのか気になってたよ。」
いつの間にか紫音の顔からは表情が無くなっていた。
本当に嫌いになってやめたのか?と吹雪は地雷を踏んでしまったように気分になる。
「ごめんね。聞かれたくないことだったかな…?」
「いや、こんな話 してなかったから仕方ないよ。私、母さんのことなんて言ってた?」
「お母さんと合奏したんだって。いつか一緒に舞台に弾きたいって言ってくれたんだ…ってね。」
ますます紫音の声は低く冷たくなり、ついに吹雪と目も合わせようとはしなくなった。
「まだ覚えてる。私だってそう思ってたし。……でも、やめるしかなかったの。本来なら今頃、サッカーじゃなくてピアノで世界でも目指してたんだろうけど。」
「何かやめざるを得ない理由があって、意志とは関係なく音楽を手放したってことかい?」
「そう。これ以上は私のプライバシーに関わるから聞かないで。」
何だかスッキリしない返答になってしまったのは、質問者吹雪だけでなく氷浦、風丸も察していた。
しかし「聞かないで」と言った紫音の目には、もう干渉して欲しくない、と云った拒絶のようなものが含まれていた。
半ば強制的に、吹雪達はこれ以上紫音の過去に触れられなくなってしまった。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます!最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2020年4月7日 18時