おかず ページ16
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紫音は空腹に耐えながらもなんとか食堂に辿り着いた。
足を踏み入れると何かのソースやタレのような匂いが鼻を擽り、思わず うっと呻き声をあげてしまいそうだった。
と、遅ればせながら、向かっていたテーブルに先客がいたことに気付く。
先程紫音と吹雪の行為を誤解して逃げ去った氷浦と、風丸と云う珍しい組み合わせ。
咄嗟に見つけられる共通点と言えば、2人共髪が水色系であることか。
「氷浦貴利名、さっき全員食べ終わったって言ってなかった?」
「あ、姫野に吹雪さん。ごめん、姫野が無事に戻ったからいいと思って。」
罪なんて全く無いのに謝罪する氷浦に、紫音は広げた掌を向けて ひらひらと振った。
「あぁ、食堂貸し切ってるわけじゃないから謝んないで。怒ってるんでもないし。そんなことよりお腹空いて倒れそうなんだよね…。」
「ほら、紫音ちゃんの分もよそって来たよ。」
「ありがとう、吹雪士郎。」
とってもタイミング良く、2人の夕飯が盛り付けられた皿が乗ったトレイを吹雪が持って来てくれた。
きっと世話されていた時もこんな感じだったんだろう…と紫音は、こんな扱いの面倒な子供を世話してくれたことに改めて感謝した。
しかしお腹が空いている割には、紫音の手はなかなか箸を掴もうとしなかった。
「姫野、食欲ないのか?」
成り行きで正面に座った氷浦が頬杖をついて紫音を見ている。
だが食欲は有り余っている。
紫音は軽く首を横に振って、この違和感の正体を考え始めた。
そこへ、目の前におかずをつまんだ箸が差し出される。
風丸は氷浦の隣、吹雪の正面に座っているのでこんなことをするのが可能なのは1人しかいない。
案の定箸の持ち主は、紫音の隣に座る吹雪だ。
「ん、いただきます。」
紫音は パクッとそのおかずを口に含んだ。
氷浦と風丸からは「え…」と腑抜けた声があがり、吹雪は相変わらずの爽やかスマイル__心情は読み取れない。
途端に紫音は、自分がとった信じられない行動に目を丸くして思わず立ち上がった。
「なな、な、なんで今……私。」
吹雪に「食べて」と言われたわけでもなく、何故進んでおかずを食べてしまったんだ。
まるで食べさせてもらうのを待っていたみたいではないか…。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます!最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2020年4月7日 18時