究極の選択 ページ21
＿＿＿＿＿
「全く、自販機新しくなったなんて聞いてないんだけど…。」
皆の自室がある２階から階段を下り、１階のロビーに来たのだが、紫音とタツヤ以外に人影はない。
自動販売機に近寄って覗いて見ると、確かに紫音の好きそうな品のサンプルが並んでいた。
「今朝、食堂で監督が言ってたよ。」
「…だったら知らなくて当然か。」
食事の時間はわざとずらしていたので、紫音には通達が届かなかった訳だ。恐らく吹雪も。
「紫音はどれにする？」
「えっと、ちょっとタイム……」
ついさっき、奢って貰うのは悪い…なんていい子ちゃんなことを考えていたのだが、やっぱりお言葉に甘えさせていただくことにする。
紫音は一通り商品を眺めて、最終的に二択にまで絞った。
大好きなホットチョコレート(ビター)か、ココアか。
ちなみに両者共に値段は同じ。原材料はカカオであり、飲み物となっては明確な違いは無いらしい。
紫音はチョコレートを溶かしたのはホットチョコレート、ココアパウダーを溶かしたのはココア…と名前通りの単純な方法で区別しているが。
要するに、どちらも捨て難いのだ。
チラッと隣の彼を見ると、目が合ってニコッと笑いかけてきた。
先に選ばせるつもりだろう。
しかし優柔不断な紫音からしたら、待たせてしまっているので焦りばかりが募る。
「随分迷ってるね。」
「だって…。」
「今回限りって訳じゃないんだから、もっと気楽に考えていいと思うよ。」
「まあ、そうなんだけどね。」
流石に、どっちも飲みたい！なんて我儘は言えない。
タツヤの言う通り、また今度買いに来ればいい。
そもそも奢って貰う身なのだから、即決出来ないだけで失敬だ。
「…ホットチョコレートで。」
と言うとタツヤは１２０円ピッタリを投入口に入れ、最上段にあるホットチョコレートのボタンを紫音の代わりに押してくれた。
ガコン、と音を立てて缶が受取口に落ちると、取り出して「はい」と紫音に差し出す。
「ありがとう。」
「うん。じゃあ俺はココアにしようかな。」
「＿＿えっ」
究極の選択(紫音にとっては)のあとで、捨てた方の選択肢を見せられると凄く誘惑すると云うのに…。
しかし買わないでくれとも言えないので、その誘惑を振り切るためにもココア缶からはなるべく目を逸らすようにした。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
