【歌い手】紫色カレシ。【志麻】

# い ぞ ん　(番外編。) ページ33

※流血等の表現あり

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志麻side


赤だ。


紅。


赤い、紅い、華みたいやなと思った。



　 キ レ イ だ


貴「…………」


ドアを開けるとカッターを持ち、
真っ赤な液体を手首から滴らせている
Aがいた。俺に気づかないほど
懸命に自分を傷つけている。



『……っ な、に…しとる…ん…』

無意識に声が震える。
振り返った彼女の瞳は俺を映していなかった。Aの目は雨水の目薬をさしたみたいに濁っていた。


貴「……、ゆめをみるの…


志麻くんが、
わたしから、はなれていく……」


穏やかに、ぽつぽつと静かに降る雨のように話している。


『離れん、って言うたやろ!? なんで分かってくれへんの…』


感情が溢れる。血液が沸騰してるようだ。指先が冷たくなる。



どうして分からんのかな………


貴「わたしと、いっしょね……」



俺の目が濁っていく。
鮮やかな血が滲むように。


ｽﾞ ｯ ﾄ


ｴ ｲ ｴ ﾝ ﾆ





ｲ ｯ ｼ ｮ


目 の 前 が 、

赤。

紅。

朱。

緋。


あ か い ろ に 染 ま っ た

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