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凄い子達だと思った。こんなに背丈もあって、筋肉量も常人とは桁違いで、しかも鬼殺隊最高峰に君臨する柱の座を得た人。継子の私でさえ狼狽えてしまう相手。
そんな人物に家族の為に立ち向かえるこの子達が本当に輝かしく見えた。私なんかより全然幼いのに、こんなにも勇気が違うなんて。
そうよ。こんな私に、彼が、炭治郎が振り向いてくれるわけがない。
「ちょっ…てめーら!いい加減にしやがれ!」
ただアオイの手となほの服を放さないように必死になるだけの私と違って、きよとすみは音柱様にしがみつく。わんわん泣きながらアオイとなほを助け出そうとする。
こんなのじゃ駄目。私も、私も何か…。
「女の子相手に何してるんだ!手を放せ!」
「蝶屋敷の皆んなに何してるんですか音柱様!」
太陽が現れた。
まるで太陽が雲で隠されていて、それをからっ風で吹き飛ばされたような感覚に陥った。
私を照らしてくれる光を灯してくれた、彼女と彼。
皆んな一斉に、突如現れた二人を振り返る。
二人はいつも湛えている陽だまりのような笑顔ではなく叱咤した表情だった。
でもAと炭治郎は私達を見て一瞬困惑した表情になった。
それもそうだ。今の状況では柱に複数人の女児達が群がっているようにも見えるんだから。
伝えなきゃ。アオイとなほが連れて行かれそうだって。助けてって。
でも。
声が、出ない。銅貨、銅貨を…。
「人さらいですーっ!助けてくださぁい!」
私が考えるより先にきよがAと炭治郎に助けを求めた。
「この馬鹿ガキ…!」
「キャー!」
Aと炭治郎に助けを求めたからか音柱様は更に怒りを増幅させ、きよに手をあげようとした。
駄目。そんなに小さな子が音柱様のような成人男性の攻撃を受けたら軽傷じゃ済まないかもしれない。お願い止めて。
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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時