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「は、放してください!私っ…この子はっ…」

「うるせぇな。黙っとけ。」



いきなり音柱様が蝶屋敷を訪れた。
今しのぶ様はいません。また後日いらっしゃってください。とアオイが伝えた瞬間、アオイとなほが音柱様に担ぎ上げられた。

アオイは青ざめ、なほはひぃぃとおびえている。きよとすみも音柱様に必死に二人を放すよう泣きながら懇願した。


しかし音柱様は聞く耳持たずでアオイとなほを放してくれる気配がない。
どうしよう。どうしよう。どうすれば良いの?

師範はまだ帰って来ない。どうにかしなきゃ。せめてきよとすみみたいに必死にお願いしなきゃ…。



「カッ…カナヲ!」



青ざめて涙目になったアオイが白魚のような腕を伸ばして私に助けを求める。
いつも助けて貰ってばかりじゃない。今度は私の番よ。なのに。

___Aなら、Aならどうしてた?
きっと何が何でも二人を助けようと必死になった。でも私は声のひとつも出すことができない。

同じ継子同士なのに、同じ髪と瞳の色を持っているのに、どうしてこんなにも違うの?



全身が汗ばむ。冷めきったみたいに身体が冷える。

___アオイ。なほ。任務。師範。命令。上官。柱。銅貨。命令。

頭中をぐるぐるする。どうしよう。どうしよう。

銅貨…銅貨を投げて決める…。



『心のままに』



ふっと、いつかの炭治郎の言葉が脳裏を過ぎった。あの太陽みたいな優しい笑みと共に。



「カナヲッ!」

「カナヲさまーっ!」



___心のままに。



アオイの手となほの服を思いっきり掴んだ。アオイは涙を浮かべていた。なほときよとすみもぽろぽろ涙を零していた。

上官だろうが何だろうが、私の家族に手を出さないで。



「…カナヲ…」

「カナヲさま…」



音柱様は私のことを気にいらなそうに、面倒臭そうに振り返った。

柱の方にこんなこと、して良かったのかはわからない。
でも間違いなく、私は“心のままに”動いた。



「地味に引っぱるんじゃねぇよ。お前は先刻司令がきれるだろうが。」



冷たい目で私のことを見下ろす音柱様。でもそんなこと関係ない。絶対にこの手は離さないんだから。



「何とか言えっての!地味な奴だな!」



何も答えない私に怒りが頂点に達した音柱様は大声を荒らげて私を怒鳴った。
力ずくでアオイとなほを連れて行こうとする。


とっ、突撃!突撃ー!ときよとすみが声を荒らげて音柱様に掴みかかった。

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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時

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