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そして私たちはおばあちゃんに頼み込み、霊術院に行かせてもらうことになった。
「気をつけていくんだよ」
「わりぃな、ばあちゃん。
おやすみになったら甘納豆持って帰ってくるから」
「いいんだよ冬獅郎。
ばあちゃんが買っておくからねぇ」
「いいって!俺が買ってくるからばあちゃんは待っててくれよ!」
「そうかい、それじゃあ冬獅郎にお願いしようかねぇ」
「あぁ、そうしてくれ」
おばあちゃんと冬獅郎の会話はとても見ていて気持ちの良いものだった。祖母と孫のお手本のような、そんな温かい雰囲気をまとっている。
私は、昔から、おばあちゃんに…ばあちゃんに何もしてあげられなかった。
「日南子」
「!
なぁに?」
突然おばあちゃんに呼ばれたから少し驚いてしまった。
「私は気付いてるよ。
大丈夫。あんたなら出来る。
今までも上手くやってきたんだろう?
お友達も待ってる。
早く、行っておやり。」
あぁ、気付いてたんだ。
全部全部、気付いてたんだ。
わたしが、___だってことに。
ばあちゃん、ばあちゃん。
「ばあちゃん、行ってくる。
今度は…ちゃんと、帰ってくるからね」
「それは嬉しいことだねぇ
ほら、冬獅郎、日南子。
もう時間だよ。お行き」
「ああ、行ってくる」
「行ってきます!おばあちゃん!」
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日南子とばあちゃんの会話、なんかおかしくなかったか。
まるで昔から知っていたようなそぶりで。
もしかして昔は家族だったのか?
いや、一度魂魄として死に転生したら記憶はなくなるはず。
それにばあちゃんの家族から死神が出たって話は聞いたことがない。
でも………
日南子とばあちゃんが話していた時の雰囲気は、俺に入る隙はなかった。
帰った時にばあちゃんにでも聞いてみよう。
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作者名:ひまり | 作成日時:2020年4月15日 19時