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冬獅郎side




「日南子」


「…………」



呼びかけても日南子は黙った。


「話せるところからでいい、話してくれ」


日南子が何かを隠しているのはわかった。

否。

わかっていた。

思えばアイツとの出会い。

アイツは俺目がけて歩いてきた。
最初は人間違いだと思った。
普通なら俺の姿を怖がって避けるはずだから。
アイツは俺に向かってそう言った。


『私をあなたの家にとめてくれない?家族、いないの。虚にたべられちゃった」


何故かニコニコしながら言っていた。

何故俺は良いと言ってしまったのだろうか。
答えは簡単だ。
俺は、自分を認めてくれたみたいで、嬉しかったんだ。
桃とばあちゃん以外に、俺を怖がらない奴が出来て、嬉しかった。
桃もばあちゃんも優しかったから、何も言わずに日南子を家に迎えた。

「私は…」

日南子が口を開いた。


「私は、昔の記憶があるの。
私は、死神だった。
火のような、暖かい霊圧を持っていた。
死んで、現世に生を得て、また死んで。尸魂界にまた戻ってきた。

そして、冬獅郎を見つけた。
凍えてしまいそうな程冷たい霊圧を持っていた」

日南子は俺の目を見て話さなかった。
コイツは、嘘をつくときに目をそらす。

だが次の言葉からは俺の目を見ていった。

「私が、暖めなきゃって、思った。」


「…、いつか、本当のことを言えるときが来たら、言ってくれ」

今の俺には、それしかいえなかった。


「ごめん…ごめんね、私は…言わなきゃいけないのに、言えなくて。
言ったら冬獅郎に迷惑かけちゃうから…
いつか全部、話せる時まで待っててくれる?」


こんなこと聞くなんて、コイツは俺をナメてるのか??
答えなんて決まってる。


「あぁ…当たり前だろ」

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作者名:ひまり | 作成日時:2020年4月15日 19時

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