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松本副隊長との話しが終わった冬獅郎は行く宛が無いようだったが、席順を見るとすぐに歩き出した。

私の隣には三席が来るはずだがまだ来ていない。
冬獅郎が三席なわけないし、今日は休みなのだろうか。残念だ。
実力のある人と話すのはとても楽しいのだが…。

考えにふけっていると冬獅郎が近づいてくる。
近い席なのかな、とか考えるがどんどん私の方は近づく。
なんだなんだとあたふたしている内に冬獅郎は私の隣に座った。

冬獅郎「久しぶりだな、日南子」

日南子「久しぶり、なんだけどさ」

冬獅郎「なんだ?」

日南子「その席…三席の席だけど冬獅郎座っちゃダメなんじゃない?」

その言葉を言うと先輩隊士が私を異物を見るような目で見た。
私、なんか変なこと言ったかな?

そうしていると、冬獅郎が突然笑い出した。

冬獅郎「アハハハハハ!!」

日南子「えっなに!?なんでいきなり笑ってるの!?」

冬獅郎「いや、だって日南子が面白いこと言うから」

日南子「そんなこと言った!?」

冬獅郎「あのな、俺の席次、三席なんだぜ?」


…………。


日南子「ええええええ!?」

冬獅郎「言ってなかったか?」

日南子「言ってない!むしろ席官入隊した以降昇進したくらいしか聞いてない!!
なんで!?教えてくれれば良かったのに!」

他の隊士にも見られて赤っ恥をかいてしまったではないか。

冬獅郎「でもお前だってスタートが十五席だろ?凄いじゃねぇか」

日南子「そんなことないよ…だって冬獅郎のはじめは5席だったじゃん」

冬獅郎「俺が五席からだって言っても日南子が席官入隊するのが凄くないわけじゃないだろ、十分お前は凄いよ」

めったに聞かない冬獅郎の褒め言葉に思わず涙がこぼれた。

日南子「…狡いよこんな時ばっかり褒めて…何にも出ないからね…」

ぐすっ、ぐすっと泣きながら素直じゃないな、と自分でも思うような言葉が漏れる。



日南子「うぇぇえ〜ん冬獅郎のくせに〜!!
こういう時だけ虫が良すぎる!ばか!ばか!」

突然大声で泣き出した日南子に冬獅郎はギョッと目を向いた。
こいつが泣くときなんてよっぽど辛いの我慢してた時だけだ。

冬獅郎「日南子、お前今までなんか我慢してたか?」

日南子「…桃も冬獅郎も私より全然成績良くて、私だけこんなに出来てなくて、おばあちゃん家一回も帰ってないんだ…」

冬獅郎「まじかよ!?ばあちゃん今頃悲しんでるていうか最近ばあちゃん寂しそうな顔してたぞ!?」

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作者名:ひまり | 作成日時:2020年4月15日 19時

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