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冬獅郎side
……
「日南子は、死神になんねーのか？」
「私は冬獅郎に拾ってもらったから、冬獅郎が死神になるって言うなら私も死神になる」
こいつは毎回こんなことを言う。
「……我慢しなくてもいいんだぞ？」
「我慢なんてしてないって！冬獅郎の隣に居れるのが私の幸せだから」
こいつ、いつも俺より桃にベッタリな癖に……。
「ガラにもねーこと言うなよ」
「ヘヘッ、そうだね！」
そう言って日南子は笑った。
あれから五年が経った
桃が家に帰ってくることが少なくなった。
目標ができたらしい。
髪は少しのびた。
俺の背はのびない。
「冬獅郎……」
ばあちゃんが俺に声をかけてきた。
「俺、甘納豆買ってくるよ」
珍しく、日南子が家をあけた日だった。
ジャラ……。
釣り銭が机の上に置かれる。
いつも日南子が怒るからこんなことはされない。でも今日は日南子がいない。
日南子が来る前はこれが日常だったんだ。なんとも思わない。
刹那。
「ちょっとー！！客に対してその態度はないんじゃないのー！？」
何か柔らかいものが顔に当たった。
衝撃で机の角に頭をぶつけた。
いてぇ。
「ここがそんな無礼なところだとは思わなかったわ！！！」
うるせぇ……
「アンタも泣いてないで何か言いなさいよ！」
「誰のせいだと思ってんだ！」
胸のデカイそいつは死覇装を着ていた。
今日は災難な日だった。いつもの調子なら数時間後に日南子が帰ってくるだろう。
昼寝をして待つとするか……
俺は眠りについた。
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作者名：ひまり | 作成日時：2020年4月15日 19時
