Ｔｏｐａｚ__9th__ (ページ42)

今日:11 hit、昨日:23 hit、合計:155,425 hit

山田家父の事件簿＿6 ページ42

．

俺のいないところで話される俺の話。

まさか聞かれているとは思わない涼介の本音をこんな形で聞いてしまっている罪悪感はあるけど………それでも電話を切れない。

髙『俺から言っても無理だよ。昔から変なところで頑固って言うか………体調が悪くても認めないからね』

涼『そうなんですか？………』

そんなことはないよ？
………髙木め、涼介に変なこと言わないで。

髙『ああ、そういうところ親子なのか』

涼『え？誰と誰が……？』

想像がつく。涼介は自分のこととは思いもせず……本気で誰の話？と首を傾げただろう。

かくいう俺も、無理をしたり隠したりした覚えはないわけで…………髙木、あとで鬼電話してやる。

髙『この後は家に帰るの？』

涼『買い物に行きます！』

髙『ちょうどよかった。俺たちもついていっていい？』

涼『はいっ』

さっきから気になっていることがあるのですが…………

盗み聞きしている分際でごめんね、涼介さん……髙木相手だとデレてません？

家にいるときとは声のトーンが違う。早く離れなさい！

『りょうすけ！て！』

侑『あっ！だぁめ！りょおすけはゆーりの！』

この声は………侑李と髙木の息子の望くん。

涼介のことが大好きな二人は保育園でも取り合いをしているらしい。

それなのに涼介が髙木ばっかりで目を離すから隣で喧嘩を始めちゃったじゃない。早く髙木から離れなさい。

『りょうすけはおれとてつなぐ！』

侑『ちーがーうー！ゆーりとつなぐの！』

髙『望には父ちゃんがいるだろ』

『りょうすけがいいっ！』

涼『じゃあ、右に侑李で左にのんちゃんね』

ああ…………すごく楽しそう。その場にいたかったな…………

これがいいかな？あれがいいかな？

相談しながら買い物しているのを(勝手に)聞いているだけとは虚しい。

“家まで送るよ”は有り難いけど、帰り道に美味しそうな苺のパフェの画を見つけて、ファミレスに寄り道しようとしている様子まで聞こえてくる。

悲しいことに、いちごパフェに負けてしまう自信があったりするんです。

あぁ、、虚しい……電話切ろうかな。

髙『寄っていく？』

涼『いちご…………うーん…折角ですが、今日は帰ります。家で慧くんが待っているので、早く帰ってあげたいんです』

慧「っ…涼ちゃん………」