Ｔｏｐａｚ__9th__ (ページ2)

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末っ子とパパ＿2 ページ2

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駅で八乙女さんと別れた俺は電車を乗り継ぎ保育園へ急いだ。

電話を受けてから一時間は余裕で過ぎて、途中で“熱が上がっている”との連絡も貰っていた。

慧「すみません、遅くなりましたっ」

「侑李くん、お父さんが迎えに来てくれたよ」

慧「侑ちゃん、待たせてごめんね……」

侑「ぅ゛ー、ぅ…っ…けぇくっんん……！」

職員室の奥の部屋で顔を赤くさせて横になっていた侑李。

うるうるの瞳から涙がぽろぽろと溢れ、抱き上げると必死にしがみついてくる。

「侑李くん、“慧くんはお仕事が大変なの”と言って頑張ってました。
けれど、すごく寂しかったと思います」

慧「すみません………」

今朝、出掛けるときもバタバタしていて見逃していた侑李の異変。

保育園の先生には話をしたらしい………朝からちょっとだけ“からだが、ぶるぶるした”と。

「お仕事がお忙しいのは私共も理解しておりますが、侑李くんの話を聞いてあげられるのはお父さんだけです。

時間を作ってあげてください」

良く言えば我慢強いうちの子達は心の内に溜め込みやすい。

我慢しないでね、と言っても誤魔化されちゃうから………回りの大人が気付かなければ最悪の場合、無理をして倒れてしまう。

………仕事のことを気にして言い出せなかったのかな……

病院で最近子供たちの間で流行っている風邪かもしれないと診断された侑李はその帰り道、熱い呼吸を吐きながら俺の腕の中で眠った。

………流行り風邪だとしたら、……

慧「涼ちゃんに移さないようにしなきゃ」

侑李を隔離するしかなく帰宅してからもバタバタ。

慧「………もしもし、あ、八乙女さんっ？今日は助かりました…」

八『その感じだと大丈夫ではなさそうだな』

慧「今ちょっと、バタバタしてまして…」

着替える時間もなくジャケットだけ脱ぐとシャツの袖を捲り家中を走り回っていた俺。

八『必要じゃなかったら捨ててもらっていいんだけど、』

慧「ごめん、後程………ん？」

仕事を代わってもらい、心配して電話までくれた八乙女さんへの応答も若干雑になってしまう。

“後程改めてこちらから連絡させていただきます”と電話を切ろうとした……ら、背後から聞き馴れた声が耳に入ってきた。

『………光さん？』

八「あ、…」

え、今の声は………涼介？

慧「八乙女さん、今何処にいるの……？」