涙、半分＿3 ページ42
涼介side
中「何描いてるの？」
涼「ぅん………わかんない」
休み時間。
退屈しのぎに僕はペンを走らせていた。
プリントの裏は真っ白で自由に黒い線が伸びる。
裕翔に聞かれるまで適当に描いていただけで何って考えていなかった。
ただただ、白を埋め尽くすような黒、かな。
涼「………裕翔、」
中「ん？」
涼「変かな、おかしいかな……」
中「そんなことない」
“やまは変じゃないよ”
僕の目線までしゃがんだ裕翔がまっすぐ目を見て言ってくれる。
自分でも意味不明な質問なのに。
涼「………」
中「やっぱり疲れてるみたいだよ。保健室に行こ」
そうなのかな………今日は上手く笑えないや。
そわそわしていて落ち着かないんだ。
裕翔に連れられて出た廊下。
パタパタ、キュッ……上履きが床に擦れる。
後ろからの足音が気になって振り返った。
涼「っ、……ゃ」
中「やま……？」
涼「……やだ、やだ…………ぃやだっ……！」
中「！？」
涼「はっ…やだ、こないでっ……やめてっ！！」
あの男の人が近づいてくる。
僕の名前を呼んで笑っている。
ぐにゃぐちゃと歪み始める視界。
心臓がバクバクして苦しくて胸を押さえてその場に崩れ落ちる。
え…………あの男の人って、誰……？
頭の中で何かがギラリと光ったの。あれは………ナイフ？
これは何の映像なの……？知らない、知らない。こんなの知らない。
中「やまっ、大丈夫だよ。俺だよ、裕翔だよ。顔あげて？見える？」
涼「っ………ゆ、ぅと…」
中「そう、そのまま俺の目を見てて？」
涼「…ぅ…ぅ、ん………」
全身の毛が立つような感覚に震える唇。
膝が笑って自力で立ち上がることは困難。
僕は言われた通り必死に裕翔の目だけを追いかけた。
中「怖い夢でもみたのかな……？」
涼「…ゆ、め……？」
本当に、夢…………なのかな。
裕翔の大きな背中で揺られながら、また消えていこうとする断片的な恐怖の正体に気付かないフリをして蓋をする。
慧「涼ちゃん、おかえりなさい」
涼「……ただいま」
放課後。
裕翔に校門まで送ってもらい、迎えに来てくれている慧くんと帰る。
涼「一人で帰れるから毎日迎えに来なくていいよ」
みんなに見られて恥ずかしいし………慧くんだってお仕事忙しいでしょ？
慧「そんなこと言わないで〜涼ちゃんに早く会いたくて待ってらんないのよ」
とか言って、
家に帰ったら今度は侑李の迎えもあるのに。
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Rio(プロフ) - 主様のお話大好きです！9のパスワードを教えて頂きたいです🥲 (2022年9月2日 7時) (
レス) id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - Mizmizingさん» お返事遅くなりましたm(_ _)mご愛読ありがとうございます！現在たくさんの リクエストを頂いているため、順番になってしまいますがよろしいでしょうか…？ (2021年12月5日 18時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
Mizmizing(プロフ) - いつも楽しく読まさせて頂いています。リクエストですが、看病をするしっかり者な一面も見てみたいです！慧が動けなくなる位体調を崩した時に普段の恩返しとして働く家族想いなお話が読みたいです。 (2021年11月30日 11時) (レス) id: c4e35f8ccc (このIDを非表示/違反報告)
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