可愛い子の旅＿9 ページ30
裕翔side
修学旅行、三日目の朝。
俺は起床時間よりも早く起きて、自分とやまの分の帰り支度を纏めていた。
あのタイミングでなくてもそれはそれは狡いサプライズの手紙のお陰で昨夜は出来なかったからね。
湯上がりから様子がおかしかったやまは手紙を読み終える頃には大号泣で、泣きすぎて過呼吸まで起こしちゃって可哀想だったんだ。
そのまま意識を失うように眠りについて起きることはなかったけど…………大丈夫かな。
中「やま、朝だよ」
涼「ん、ぅ…っ………」
中「起きられる…？」
涼「……ゅ、と…」
薄ら開けた目は前日の希望に満ち足りたものではなく寂しげに揺れる。
中「着替えて朝御飯を食べたら帰れるよ」
涼「…………」
宿を出てもそのまま直行で帰れるわけではなくて、やまにとっては余計な寄り道があるのだけど……これがまた厄介で。
中「バスの中で皆が戻ってくるのを一緒に待ってよう」
窓の外には………獣が見える。
ここは危険だ。お土産は誰かに頼めばいいのだから待っていようと俺ははじめから決めていた。
降りるつもりがない俺は座席に深く腰を下ろしたまま、わーわー言いながら降りていく皆を見送って………
ん？隣から動き出す気配を感じる。
涼「……、いく……」
え……！？
心は晴れないままだけど身体に影響はないらしくバスを降りる準備を始めるやま。
中「行くのなら俺から離れないでね？」
と、念押しに約束したのに……
やまはぼーっとしながらふらふら歩いていってしまって。
あれ？！どこ行ったの！？
少し目を離した隙にやまはいなくなり、必死に探し回る俺の耳に悲鳴が聞こえた。
涼「…シカさんっ、ひぃ………ゃ、来ないでぇっ…」
中「やま、手に持ってるの投げて」
涼「ぅっ、ぽぃっ……」
だから危険だと…………離れないように手を繋いでいないと駄目かな？
お土産を選んだらバスに戻ろう。
野生の鹿の恐ろしさを体感したやまは素直に頷いてくれて一安心。
バスへ戻ると疲れたのかすぐに眠ってしまいぴくりとも動かない。
心配になって顔を近づけてみると“…んんっ”と反対側を向かれてしまった。
新幹線に乗り換えてもまたすぐに寝ちゃって…………ずっと離れられなかったけどこの様子なら大丈夫かな？お手洗いに行ってこよう。
ほんの数分、座席を離れた。
中「ん？なんか騒がしい……」
「中島、山田が……！」
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Rio(プロフ) - 主様のお話大好きです！9のパスワードを教えて頂きたいです🥲 (2022年9月2日 7時) (
レス) id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - Mizmizingさん» お返事遅くなりましたm(_ _)mご愛読ありがとうございます！現在たくさんの リクエストを頂いているため、順番になってしまいますがよろしいでしょうか…？ (2021年12月5日 18時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
Mizmizing(プロフ) - いつも楽しく読まさせて頂いています。リクエストですが、看病をするしっかり者な一面も見てみたいです！慧が動けなくなる位体調を崩した時に普段の恩返しとして働く家族想いなお話が読みたいです。 (2021年11月30日 11時) (レス) id: c4e35f8ccc (このIDを非表示/違反報告)
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