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あれから1日、普通だった。
うん、ほんとに普通だった。
特に気まずい雰囲気もなく、いつも通りって感じの千冬。
普通に話すし、普通に場地と3人で絡むし。
そんな千冬に対して、私はどこか寂しい気持ちを抱いていた。
私が気を使いすぎていたのかもしれない、そんな風に考えるころにはもう放課後になっていた。
「もう帰るだろ?場地さんとこ行こうぜ」
『え、あ、うん』
HRが終わり私にそう声をかけてくる千冬。
そんな千冬に対して私は戸惑ったようにそう返事をする。
先を歩く千冬の後を急いで追った。
「場地さーん、帰りましょー」
「おう、今行く」
いつも通り廊下で場地を呼ぶ千冬。
そんな千冬を私はただ見ているだけ。
…だめだ。
やっぱり考えすぎちゃう。
ずっと考えていたことがいっぱいになった私。
『ごめん、私先生に呼ばれてたんだった!先帰ってていいよ!』
「は?なんで急に…」
『今思い出したの!じゃあね!』
場地が来る前に、私は千冬にそう言い残してその場を後にする。
もちろん先生に呼ばれてたなんていうのは嘘。
なんか、これ以上千冬見てるのが正直きつい。
なんだろう。
なかったことにされてるみたいで、寂しいっていうのか、とにかく変な感情。
・
・
結局人通りの少ない裏庭に来た私は、木の下に腰を下ろしてはぁ、と大きいため息をついた。
『もー…わかんないよぉ』
1人でそう呟いて頭をガシガシと掻く。
私って勝手なんだろうか。
ずっと場地のこと好きって言いまくってたのに千冬にああいうこと言われて、ああいうことされて。
意識しまくりで、なのになかったことにされたみたいに全然それについて触れてくれなくて。
ましてや態度も普通で。
今まであまりちゃんと考えたことがなかった。
恋愛の“好き”ってこと。
憧ればかりが好きだと思ってた。
憧れてる人が、好きだっていうことなんだって。
だけど、昨日の千冬を見たらそうじゃないんだって気付かされて。
私が抱いている場地への感情と千冬への感情は違うんだってこと。
気付くのが、遅すぎた。
だから馬鹿って、嫌だ。
そう思って再びため息をついて時だった。
「千冬くん…」
「……」
後ろから聞こえた、女の子が千冬の名前を呼ぶその言葉。
胸がドクンと波打つのがわかった。
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みや(プロフ) - にるさん» そんな風に感じながら読んでもらえてすごく嬉しいです!ありがとうございます! (2021年9月3日 23時) (レス) id: d7231c8dfb (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - まちゃさん» ぜんぶ嬉しいお言葉ばかりで泣きそうです…!ありがとうございました! (2021年9月3日 23時) (レス) id: d7231c8dfb (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - 読み始めた頃は物語がどんな感じで進んでいくのか予想がつかなかったのですごく面白かったです!新作も楽しみにしてます!! (2021年9月3日 11時) (レス) id: 1dc1023941 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - 終始きゅんきゅんしながら見てました; ;タイトルからして面白そうだなと思っていて、いつも通知が来る度喜んでました笑。夢主の性格もThe女の子という雰囲気がないところが好きです!次回作も楽しみにしてます! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 9bf8242341 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» 場地さんにはどっちでもいけるポジションでいてほしかったです()ありがとうございました! (2021年9月3日 2時) (レス) id: d7231c8dfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや | 作成日時:2021年8月25日 0時