My Special HERO !! 【東海オンエア】

＃13 春到来 ページ14

テストももうすぐ終わるという頃、いつもの4人組はまた廊下で騒いでたんだけど、今日は様子がおかしい。

というのも今日は、1人多い。

またいつものようにバレないように観察してみる。

やっぱりジャンケンをしてて、今日はてつやくんが負けたみたい。

でも彼は自転車だから5人分の荷物を持つのは無理じゃないかという、彼が自転車ということを知ってるからこその心配をする。


｢あ！鳴海ちゃん！！明日数学だね！｣


荷物を持ってない手ぶらなみんなが、先にスタスタと下駄箱に向かう中、私に気づいたてつやくんが大荷物のまま話しかけに来る。

いやいや、早くついて行って、次のじゃんけんしていいよって思ったけど、テスト勉強の放課後じゃないの話しかけてもらえたのは嬉しかった。


｢俺もとしみつも鳴海ちゃんのおかげでめっちゃ数学できそうだわ｣

｢それは教えたかいがあったよ｣

｢てーつーやー行くよー！｣

｢おう！！じゃあ、明日頑張ろうね！って、鳴海ちゃんには必要ないか！｣


新しく増えた1人にてつやくんは呼ばれて、その人の方に走っていった。


｢ねえ、ゆめまる、ひとつ持ってよ｣

｢そのズルがバレたら俺まで怒られそうだからやだ｣

｢重いー｣


あ、あの時陸上部の話に出てきてたゆめまるくんだ。

とっても珍しい名前だから、あだ名なのかな？
あだ名だとしても、なんか優しくてまるまるしてそうだから納得。


姿が見えなくなってから、席に戻るとそこには華ちゃんがニヤニヤしながら私の席に座っていた。


｢へえ、てつやくんといい感じなのかな？｣

｢えっ？そんなことないってば！｣

｢鳴海ちゃんって呼ばれてるんだあ｣

｢いやそれはとしみつくんも同じだって！｣

｢へえ、じゃあそのどっちかだね｣


｢ついにAにも春到来だー！！｣って勝手に盛り上がってる。

いやいや、私にはもっと王子様みたいな出会いがあるはず。

マンガにだってこんな出会い方ないって。

まあまだりょうくんなら、王子様かもしれないからいいとして、ほかの人たちは絶対に違うって。

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