My Special HERO !! 【東海オンエア】

＃00 住む世界 ページ1

少女マンガが大好きだった。

少女マンガの世界に入れたらどれだけ幸せだろうと、小学生の時からずっと思っていた。

少女マンガの世界は素晴らしい。


気づいたら、すぐ近くに王子様がいて、
何故かいい具合にその人とお近づきになれて、
ライバルなんかも現れるけど結局その人とくっつくんだから。

そんなことが、私の身にも起こったらどうしよう。

マンガの世界に憧れたあの時から、何度も妄想したけれど、現実の世界にそんなことあるわけない。


だって、少女マンガに出てくるあの子は、彼氏がいなくても普通に可愛い勝ち組だ。

私とは違う。

マンガの世界と現実の世界、勝ち組の世界と負け組の世界、住む世界が違う。



｢俺、鳴海ちゃんのことが好き｣


目の前にいるのは、

私が思い描くマンガの世界の王子様ではない。

やっぱり世の中うまくいかない。


｢あっ、あのー｣


もう何度目かの告白に、すこし申し訳ない気持ちにはなったけど、そんなこと私には関係ない。


｢そろそろ落ちてくれても良くね？｣

｢なんで振られてるのにそんなに偉そうなの？｣

｢ほらやっぱり振るじゃーん！！｣

｢そりゃ振るでしょ｣


目の前の王子様じゃない彼のことなんて、きっと好きじゃないんだから。


｢どうしたら俺のこと選んでくれる？｣

｢まず、その女に慣れてる感じとかやだ｣

｢慣れてないって！いっつもてつやとか言ってるやん｣

｢次に、そのチャラチャラした感じも｣

｢それはしゃーないなぁ｣

｢まだまだ言い足りないけどなんか無理｣

｢ねえ！それ反則！！｣


振られてるというこの状況をなんとも思っていないのか、大きな口を開けて笑う目の前の彼。

はあ、彼がもっとイケメンで、素敵で、マンガに出てくる王子様的キャラクターみたいな感じだったらいいのに。


｢じゃ、帰るか｣

｢え？ふたりで？｣

｢俺と2人じゃ不満か！｣

｢そりゃあもう不満です｣


こんな人と2人で帰るなんてやだやだ！！

荷物を持って彼と二人きりだった教室を出ると、彼も急いで荷物を持って追いかけてきた。

＃01 おバカな2人組→

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