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対価 その44 ページ45

Aside

人の気も知らないでスヤスヤとよく眠ってるよ、コイツ。



A「戻ってくるわけ、ないんだよ」



もし本当に戻ってくるなら、とっくに戻って来てるっての。



そっと私は自分の右腕に触れる。


包帯で巻かれた腕には、私が犯した罪が刻まれてる。



A「私だって、母さんが蘇るのを望んだよ。何回も、だからこの傷ができたんだよ」



アンタはそんなこと知らないか。



この包帯の下には、乱雑な天秤の傷がたくさんある。


これはあの”美命の威吹鬼“を無理矢理やろうとしたらできる。


無償で、ただ自分の欲を満たそうとした罰。




A「アンタはできなくて良かったね。こんなの恥だよ、ほんと」

ユリウス「……」

A「馬鹿な奴。ほんと、馬鹿な奴」



こんなに言っても、ユリウスは目を覚まさないと分かってるのに、私なにやってんだろ。





ユリウス「人にそんなこと言うもんじゃないよ……」

A「あ?なんだ起きてたの」

ユリウス「……ごめんよ」

A「ほんとだよ、殺す為に私を育ててたなんて。ほんと……最悪さね」

ユリウス「……ごめん」

A「まぁ、死ななかったんだしいいや!
でも、アンタを許すことは……暫くできない」

ユリウス「許すなんて、僕にはいらないよ。それほどの事をしたんだ」




なんだ、なんか潔いな。

本気で後悔してるみたい。




A「はは!魔法帝ともあろう人間が、間違ったね」


ユリウス「あぁ……そうだね」


A「たった1人の女の為に、馬鹿なことをしたよ!」


ユリウス「……」


A「…ところで、あれから国がどうなったか聞きたい?」


ユリウス「あぁ」


A「あの暴君は人前に出られなくなったよ。ヤミ団長が国民に暴露した」


ユリウス「そうかい」


A「あれから2日経ってる。私は最初から起きてたけど、今でも国は混乱してるよ。

まぁそれもそうか。なんせ魔法帝がぶっ倒れたんだから」


ユリウス「………」


A「ねぇ、ユリウス」


ユリウス「………なんだい 」


A「私、魔法騎士団入るよ」


ユリウス「君はもともと入ってるだろう」


A「アンタが強制的にでしょ。これは、私が覚悟をもって決断したことなの」


ユリウス「…覚悟、か」


A「アンタの覚悟は、揺らいだ??」


ユリウス「……揺らぐ前に、覚悟するものが無くなったよ」






ユリウスは目線を落とし、そう言った。


.

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闘乱雪(プロフ) - 感動しました!涙脆い私だけなんでしょうか?凄くウルっときたのは (2019年2月10日 12時) (レス) id: 7aa059542a (このIDを非表示/違反報告)
N.K(プロフ) - まるさん、御忠告とご注意ありがとうございます!初めて書いていてあまり理解ができていない部分があり、すみませんでした。この忠告のもと気を付けて書いていこうと思います。本当にすみませんでした。 (2018年12月30日 16時) (レス) id: c08585e31b (このIDを非表示/違反報告)
まる - ルールを理解せずに作られた違反作品が増え、占つが無法地帯だと言われる要因の一つにもなっています。ルールをちゃんと守りましょう (2018年12月30日 13時) (レス) id: c2cd8ec7e2 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご理解下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい、違反行為です。最初に編集画面の注意事項をちゃんと読まれましたか?そこら辺をちゃんとよく読み、ルールを理解の上作品を作るようにして下さい (2018年12月30日 13時) (レス) id: c2cd8ec7e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パパゴラス3世 | 作成日時:2018年12月29日 20時

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