奈落の底は案外明るいかもしれない

真面目すぎるのも苦手だけど健気だから許す ページ9

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翌朝、朧が私の所にやってきて、

「先生の役に立ちたいんだ。何か教えてくれないか」

と言った。

「健気だねぇ。わかった。クナイぐらいは教えてあげる」






外に出て、近くの森に入る。

「こう……しっかり握って……」

教えるのって難しいな……。

見よう見まねで朧がクナイを投げる。

「おっ！」

クナイは目の前の木に刺さった。

「すごいじゃん、朧。ホントに初めて？」

今度は的を作ってやってみようと思い、私のクナイで木に印をつける。

「この印に当てられるように頑張ってみて」

朧は、クナイを構え、一度深呼吸をしてそれを投げた。

「わ、惜しい」

投げたクナイは印より少し上の所に刺さっている。

「もう1回……」

そう呟いた朧は、またクナイを手に取り、投げた。






それからも繰り返し練習し、かなりの命中率に。

「真面目すぎない？ もう充分だと思うけど」

「……まだ完璧じゃない」

どこまで真面目なの、コイツ。






朝から始め、時々休憩を挟みはしたが、結局日が暮れるまで練習した。

おかげで、百発百中とまでは行かなくても、離れた場所からとか、夕暮れ前の薄暗い森の中でも当たるようになった。

「今日はもうやめよう。これだけできたら松陽の役に立てるよ、きっと」

「あぁ、ありがとう。長時間付き合わせて悪かったな」






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