【イナオリ】ノーイナズマ、ノーライフ

6 ページ8

「皆ぁぁ！！相手は世界だ！！世界を相手に、サッカーやろうぜ！！」




結局、あの後ボロボロにされたものの、監督の声のおかげでなんとか試合欠場までには至らなかった。


キャプテンの円堂の声に合わせて皆も気合を入れるため、大きい声を出す。

まず一番最初の試合は日本対韓国。相手のキャプテンさんがとても好印象だということが私の感想だ。

勿論私はベンチ。人数が多いため、私だけが立っている状態だ。

先程西蔭に「女性に立たせる訳には」とかなんとかで譲ってもらったが、近くに一星くんが居たのが見えたので遠慮した。被害ぶつけられそうで怖いやん。

今頃、この試合日本は負ける〜とか言ってんだろうね。それより私はオリオンの使徒の結末が気になるところだけど。


相手側のボールで試合が始まる。




『待って、相手のキャプテンめっちゃ好みなんですけど…！』


「あれ？風丸さん推しじゃなかったんですか？」


『私の推しはいっぱいいるよ』




グッドサインを掲げてつくしちゃんにそう答える。

ここにいるメンバーだと、風丸さんにタツヤに吹雪さんに…と言っていくと、不動が何か疑問に思ったのか、不思議な顔をする。





「そんなに好きな人がいんのかよ」


『推しが多くて困る毎日ですね』


「推し…？」



なんだそれ。そう言われても説明しにくい。私に説明を求めるのは間違ってる。



『勿論、不動も好きだから安心して！！』


「ばっ…聞いてねえよ！！」



照れ屋さんだな〜〜可愛い可愛い。


そういえば昨日無敵ヶ原っていう人に会ったんだけど…と話始めようとしたら久藤コーチに睨まれる。

あっこれは喋るなってことですね、すみません。






『この試合つくしちゃん的にどう？』


「相手側の選手はレッドバイソン、通称赤い突撃獣。その名の通りの強力な突破力の選手達ばかりです。簡単に勝てるとは思えませんね…」


『そういうもん？私は案外勝てると思うけどな。』


「…なぜそう思うんですか？」





私の答えが気に食わないのか、理由を聞いてくる一星くん。やっぱり食いついた。





『ただ自分のチームが勝ってほしい。それだけの理由じゃ駄目なの？』


「…いえ」





また胡散臭い顔を見せる。彼は一体なにを抱えているのだろうか。私にはまだ分からない。




(佐藤A…要注意人物だな)

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す