【おそ松さん】泪が止まらない。

二十八粒 ページ28

「トト子、説教が終わったら教えてくれるかな？それまでリビングに居たいんだが......」


「分かった。早めに終わらすね」



そんな会話をしたのが三十分前の事。

トト子のご両親にも了承を得てリビングにいる私は柄にも無く六つ子の身を案じていた。


いつもなら十分で終わる筈の説教がこんなに長引くとは...殺されていないか心配だ。
そもそも何故六つ子はトト子にあの日の事を告げたのだろう。こうなる事は目に見えていたのに。


もしかしてトト子と喋る話題を作る為に私のところへ来たのか？だとしたら傍迷惑な話だ。

求愛行動に私を巻き込まないで欲しい。



「母(はは)さん、六つ子ってもう帰りましたか？」


「いえ、まだだと思うけど......」


「そうですか。ありがとうございます」



因みに泪の事だが。トト子の両親には松代さんが伝えておいてくれた。


私の横に座ってドロドロした大人の恋愛ドラマを見始めるトト子のお母さん。

う、うわぁ......ドロドロし過ぎてるぅ........。


ドラマの内容に頬の筋肉を引き攣らせながらスマホのロックを解除し、トト子にメッセージを送信する。



『まだ説教の最中かな？気分転換に散歩してくるから、終わったら連絡をくれ』



勿論既読はまだ着かない。


母(はは)さんにコーヒーご馳走様でした、と一声かけてから玄関で靴を履き弱井家を後にする。



あ、そう言えば泣いてるんだった。

泣きながら散歩は......まぁ裏路地を歩けば人目につかないだろう。


マスクとサングラスを着用して、私は歩き出した。

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