第百四十六話 ページ47
高鳴る胸の鼓動はもう慣れたもので、少しだけ驚いた顔を見せるだけにとどめた。
先生も少し驚いた様子だったが、すぐに目を細め笑みを浮かべてきた。
「おー、俺もちょうど体育館に向かうところだったんだ」
「そろそろ準備しないと間に合いませんもんね」
私たちの出番が来るまで一時間半。メイクや衣装のことを考えると、ちょうどいい時間帯だ。
体育館の裏にある簡易準備室にいると私たちのクラスの衣装係やメイク係がすでにそろっていて、すぐに私たちも準備に取り掛かった。
カーテンが張ってある更衣室でさっと着替え、千佳にジッパーを締めてもらう。髪の毛をさっとまとめると、腰までのロングな金髪のカツラをかぶり、メイク係が軽く整えてくれる。最後にメイクだ。準備は大体30分くらいで終わり、鏡を見れば凝視しないと自分だとわからない姿になってしまった。
慣れない頭上の重さに頭を振ったり傾げたりせわしなくしていると、後ろから抑えたような悲鳴が聞こえてきた。
「へぇ、結構見れる姿になれるもんだな」
「……どういう意味です、か……」
嫌味を返そうと振り向いて、息が止まった。その長身に完璧に合わせるように作られた燕尾服。長い指を隠しているはずなのに逆に強調してくる白い手袋。長いシルクハットは彼の表情に影を落とし、妖しい雰囲気を作り上げていた。普段はかけていない眼鏡も、その効果を倍増させている。
ドキリ、と大きく跳ねた心臓が、ドキドキと何度も続けて音を鳴らす。やっぱり、彼のその見目麗しさは、目にも心臓にも毒なのだ。
「どうだ、格好いいだろ」
「……うるさいです。表に出るときに転べばいいのに」
「あ？ 生意気だぞお前」
うりうり言いながら、先生は両手で私の両頬をぎゅうとつぶす。
「ぅぃー」と情けない鳴き声しか出せず恥ずかしいが、せっかくクラスメイトがやってくれたメイクが崩れるのでやめてほしい。
「もー奏音、たっくん先生、ふざけてないで準備準備！ 奏音は最初から出番あるんだからね！」
「……はい」
千佳に怒られるとなんかものすごくへこむ。
だが確かに前のクラスの劇はもうすぐ終わる。すぐに私たちの番がやってくるだろう。
私は舞台から一番近い位置のカーテン裏まで歩み、待機する。
少しだけ緊張してきた。私がしっかりしないといけないのに。セリフ量だって一番多いし、一番壇上の上に長くたっていなきゃいけない。
少しだけ手が汗ばんできた。
「大丈夫？ 奏音」
「大丈夫だよ」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！これからもバンバン頑張ります！一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします！！ (2019年5月11日 19時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです！一気に読んだんですけどすっごい楽しいです！これからも頑張ってください！ (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー！ありがとうございます！そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます！ (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください（切実）めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください！！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます（泣）尊敬に値するようにもっと文才磨きます！ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月25日 13時
